○丹波篠山市公契約条例

平成30年12月26日

条例第38号

目次

第1章 総則(第1条―第5条)

第2章 市内事業者の受注機会等の増大(第6条―第8条)

第3章 公契約に係る業務に従事する労働者の適正な労働環境の確保(第9条―第19条)

第4章 公契約に係る業務の適正な履行及びその質の確保(第20条―第24条)

第5章 公契約審議会の設置(第25条)

第6章 雑則(第26条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、公契約に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定め、市長等及び受注者等の責務を明らかにするとともに、公契約に関する基本的な事項を定めることにより、これらに基づく公契約に関する取組を推進し、もって地域経済の持続的な発展及び市民福祉の増進に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 公契約 次に掲げる行為をいう。

 市が締結する契約で、工事若しくは製造の請負又は業務の委託に係るもの(以下「請負等契約」という。)により、完成した物件の引渡し又は役務の提供を受けること。

 地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項に規定する指定管理者(以下「指定管理者」という。)に市が設置する公の施設(以下「公の施設」という。)の管理の業務(以下「指定管理業務」という。)を行わせること。

(2) 市長等 市長及び丹波篠山市教育委員会(丹波篠山市教育委員会が、その管理する公の施設についてその指定管理者の指定(地方自治法第244条の2第3項の規定による公の施設に係る指定管理者の指定をいう。以下「指定処分」という。)を受けるべき者を選定し、及び指定処分を行う場合に限る。)をいう。

(3) 受注者等 受注者(請負等契約を締結した事業者及び指定管理業務を行う指定管理者をいう。以下同じ。)及び下請負者等をいう。

(4) 下請負者等 第6号アに掲げる契約により同号アに規定する公契約に係る業務の一部を請け負い、又は受託する事業者及び同号イに掲げる契約により労働者派遣(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号。以下「労働者派遣法」という。)第2条第1号に規定する労働者派遣をいう。)の役務の提供を行う事業者をいう。

(5) 市内事業者 市内に本店又は主たる営業所を有する事業者をいう。

(6) 下請等契約 次に掲げる契約をいう。

 下請の契約、再委託の契約その他これらに準ずる契約により、受注者その他市以外の事業者が第三者である事業者に対して公契約に係る業務(請負等契約により当該受注者が履行すべき業務(以下「請負等業務」という。)又は指定管理業務をいう。以下同じ。)の一部を請け負わせ、又は委託することを内容とする契約

 労働者派遣法の規定により、自己の雇用する労働者を受注者その他市以外の事業者のために公契約に係る業務に従事させることを内容とする契約

(基本方針)

第3条 基本方針は、次のとおりとする。

(1) 市内事業者が請負等業務及び下請等契約に係る業務(これらの業務に付随する業務を含む。)を受注する機会並びに市内事業者が指定処分を受けるべき者として選定される機会を増大させること。

(2) 公契約に係る業務に従事する労働者の適正な労働環境を確保すること。

(3) 公契約に係る業務の適正な履行及びその質を確保すること。

(市長等の責務)

第4条 市長等は、公契約に係る契約及び選定(指定処分を受けるべき者の選定をいう。)の公正性、競争性及び透明性の確保を図りつつ、基本方針に基づく公契約に関する取組を総合的に推進しなければならない。

(受注者等の責務)

第5条 受注者等は、公契約に関係する法令等(市の条例、規則その他の規程を含む。)を遵守するとともに、基本方針に基づく公契約に関する取組に協力しなければならない。

第2章 市内事業者の受注機会等の増大

(市内事業者への優先的な発注)

第6条 市長等は、請負等業務の適正な履行に必要となる専門的な知識又は技術を有する市内事業者が存しない場合その他特別の事情がある場合を除き、市内事業者に対し、請負等業務を優先的に発注するよう努めるものとする。

(受注機会の増大)

第7条 前条に規定するもののほか、市長等は、経済的合理性に配慮しつつ、市内事業者が請負等業務を受注する機会及び市内事業者が指定処分を受けるべき者として選定される機会を増大させるよう努めるものとする。

(下請等契約の締結)

第8条 受注者等は、下請等契約及び公契約に係る業務の履行のために要する契約を市内事業者との間で締結するよう努めなければならない。

第3章 公契約に係る業務に従事する労働者の適正な労働環境の確保

(適正な労働環境の確保)

第9条 市長等及び受注者等は、公契約に係る業務に従事する労働者の雇用の安定、労働に係る安全その他の適正な労働環境の確保に努めるものとする。

(労働関係法令の遵守状況の報告等)

第10条 受注者(請負等契約のうち規則で定めるもの(以下「対象契約」という。)を締結した事業者及び指定管理業務を行う指定管理者に限る。以下「対象受注者」という。)は、規則で定めるところにより、労働関係法令(労働基準法(昭和22年法律第49号)、最低賃金法(昭和34年法律第137号)その他の労働、雇用又は社会保険に関する法令をいう。以下同じ。)の遵守状況を市長等に報告しなければならない。

2 対象契約に係る下請負者等(当該対象契約が建設業法(昭和24年法律第100号)第2条第1項に規定する建設工事に係るものである場合は、同条第5項に規定する下請負人に該当する事業者に限る。以下「対象契約下請負者等」という。)及び指定管理業務に係る下請負者等(規則で定めるものに限る。以下「対象指定管理業務下請負者等」という。)は、規則で定めるところにより、労働関係法令の遵守状況を、自己が締結した下請等契約に係る対象受注者に報告しなければならない。

3 対象受注者、対象契約下請負者等及び対象指定管理業務下請負者等(以下「対象受注者等」という。)は、前2項の規定による報告の内容(規則で定める事項に係るものに限る。)に変更があったときは、規則で定めるところにより、その旨を、対象受注者にあっては市長等に、対象契約下請負者等及び対象指定管理業務下請負者等にあっては自己が締結した下請等契約に係る対象受注者に届け出なければならない。

4 対象受注者は、第2項の規定による報告(以下「2項報告」という。)又は前項の規定による届出(対象受注者へのものに限る。以下「3項届出」という。)を受けたときは、規則で定めるところにより、その旨を市長等に報告しなければならない。

(労働関係法令の遵守状況の報告等に関する説明等の要求)

第11条 市長等は、必要があると認めるときは、対象受注者に対し、前条第1項若しくは第4項の規定による報告又は同条第3項の規定による届出(市長等へのものに限る。)の内容について必要な説明又は資料の提出(以下「説明等」という。)を求めることができる。

2 対象受注者は、前項の規定による説明等の要求(前条第4項の規定による報告の内容に係るものに限る。)を受けた場合において、必要があると認めるときは、当該報告に係る2項報告又は3項届出を行った対象契約下請負者等又は対象指定管理業務下請負者等(以下「対象下請負者等」という。)に対し、当該2項報告又は3項届出の内容について必要な説明等を求めることができる。

3 市長等は、前項の規定により対象受注者が対象下請負者等に説明等を求めることが適当でないと認めるときは、直接当該対象下請負者等に対し、その2項報告又は3項届出の内容について必要な説明等を求めることができる。

(措置内容の報告)

第12条 対象受注者は、第10条第1項の規定による報告又は同条第3項の規定による届出を行う際労働関係法令(当該報告を行う場合は当該報告に係るもの、当該届出を行う場合は当該届出に係るものに限る。)を遵守していないときは、速やかに、当該労働関係法令を遵守するために必要な措置を講じ、規則で定めるところにより、その講じた措置の内容を市長等に報告しなければならない。

2 前項の規定は、対象下請負者等が2項報告又は3項届出を行う際労働関係法令(当該2項報告を行う場合は当該2項報告に係るもの、当該3項届出を行う場合は当該3項届出に係るものに限る。)を遵守していない場合について準用する。

(措置内容の報告に関する説明等の要求)

第13条 第11条第1項の規定は、前条第1項の規定による報告について準用する。

2 第11条第1項の規定は、前条第2項において準用する同条第1項の規定による報告について準用する。この場合において、第11条第1項中「対象受注者」とあるのは、「対象下請負者等」と読み替えるものとする。

(労働関係法令の遵守に係る措置等の要求)

第14条 市長等は、対象受注者又は対象下請負者等が労働関係法令(対象受注者にあっては第10条第1項の規定による報告及び同条第3項の規定による届出(市長等へのものに限る。)に係るもの、対象下請負者等にあっては2項報告及び3項届出に係るものに限る。以下同じ。)を遵守していないと認めるときは、これらの者に対し、相当の期限を定めて、当該労働関係法令を遵守するために必要な措置を講ずるよう求めるとともに、その講じた措置の内容について報告を求めることができる。

(公表等)

第15条 市長等は、次の各号のいずれかに該当するときは、その該当する事実、当該事実に係る対象受注者又は対象下請負者等の氏名及び住所(法人にあっては、名称及び主たる事務所の所在地並びにその代表者の氏名)その他の規則で定める事項を公表することができる。

(1) 対象受注者が、第10条第1項若しくは第4項又は第12条第1項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。

(2) 対象下請負者等が、第10条第2項又は第12条第2項において準用する同条第1項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。

(3) 対象受注者又は対象下請負者等が、第10条第3項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。

(4) 対象受注者が、第11条第1項(第13条第1項において準用する場合を含む。)の規定による説明等の要求に対し、これを拒み、又は虚偽の説明等をしたとき。

(5) 対象下請負者等が、第11条第3項又は第13条第2項において読み替えて準用する第11条第1項の規定による説明等の要求に対し、これを拒み、又は虚偽の説明等をしたとき。

(6) 対象受注者又は対象下請負者等が、前条の規定による報告の要求に対し、これを拒み、又は虚偽の報告をしたとき。

2 市長等は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、当該公表に係る対象受注者又は対象下請負者等に当該公表をする旨及びその理由を通知するとともに、これらの者に弁明及び有利な証拠を提出する機会を与えなければならない。

(対象下請負者等への明示)

第16条 対象受注者等は、その履行すべき公契約に係る業務の一部(対象受注者が指定管理者である場合は、当該対象受注者が行う指定管理業務のうち規則で定めるものに限る。)について、他の事業者に請け負わせ、若しくは委託し、又は労働者派遣法第2条第2号に規定する派遣労働者に従事させようとするときは、その相手方に対し、あらかじめ、第10条第2項の規定による報告の義務があることその他市長等が別に定める事項を明示しなければならない。

(対象労働者への明示)

第17条 対象受注者等は、その履行すべき公契約に係る業務に従事する労働者(以下「対象労働者」という。)に対し、その従事する公契約に係る業務の内容及び当該公契約に係る業務における労働条件が第10条第1項又は第2項の規定による報告に係るものであることその他市長等が別に定める事項を明示しなければならない。

(通報及び相談等)

第18条 対象労働者は、その従事する公契約に係る業務を履行すべき対象受注者又は対象下請負者等が労働関係法令に違反していると思料するときは、その旨を市長等に通報することができる。

2 対象労働者は、その従事する公契約に係る業務を履行すべき対象受注者又は対象下請負者等による労働関係法令の違反に係る疑義について市長等に相談することができる。

3 対象受注者等は、対象労働者が第1項の規定による通報又は前項の規定による相談を行ったことを理由として、当該対象労働者に対し、解雇その他の不利益な取扱いをしてはならない。

(関係機関への通報)

第19条 市長等は、対象受注者又は対象下請負者等が労働関係法令を遵守していないと思料する場合において、特に必要があると認めるときは、その旨を都道府県労働局長その他の関係機関に通報するものとする。

第4章 公契約に係る業務の適正な履行及びその質の確保

(適正な予定価格等の設定)

第20条 市長等は、公契約に係る業務の適正な履行及びその質を確保するため、合理的な積算等を基礎として、請負等業務にあっては適正な予定価格(最低制限価格を設定するものにあっては、最低制限価格を含む。)を、指定管理業務にあってはその対価として支払うべき金額の適正な上限額を設定するものとする。

(履行内容の確認)

第21条 市長等は、公契約に係る業務の適正な履行及びその質を確保するため、適宜その履行の内容を適切に確認するものとする。

(下請等契約の適正化)

第22条 受注者等は、下請等契約を締結するに当たっては、公契約に係る業務の適正な履行及びその質並びに公契約に係る業務に従事する労働者の適正な労働環境を確保するため、自己が当該下請等契約の相手方と対等な立場にあることを認識し、下請代金支払遅延等防止法(昭和31年法律第120号)その他の法令を遵守し、当該下請等契約の内容を適正なものとしなければならない。

(従前従事労働者の雇用)

第23条 受注者等は、その公契約に係る業務(継続的に実施する必要がある業務として規則で定めるものに限る。以下この条において同じ。)を履行するに当たっては、当該公契約に係る業務の適正な履行及びその質を確保し、並びに労働者の雇用の安定に配慮するため、従前から当該公契約に係る業務に従事していた労働者で引き続き当該公契約に係る業務に従事することを希望する者を雇用するよう努めなければならない。

(不正行為をした事業者等の排除)

第24条 市長等は、談合その他の不正行為をした事業者その他の受注者として適当でないと認められる事業者について、請負等契約に係る入札への参加を制限することその他の公契約に係る業務の受注者にさせないために必要な措置を講ずるものとする。

第5章 公契約審議会の設置

第25条 公契約に関し必要と認める事項について審議するため、市長の附属機関として、丹波篠山市公契約審議会(以下「審議会」という。)を設置する。

2 審議会は、次に掲げる事項について審議する。

(1) 市内事業者が、請負等業務及び下請等契約に係る業務を受注する機会並びに指定処分を受けるべきものとして選定される機会の増大に必要な事項

(2) 公契約に係る業務に従事する労働者の適正な労働環境確保に必要な事項

(3) 公契約に係る業務の適正な履行及びその質の確保に必要な事項

(4) その他公契約に関する事項

3 審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

第6章 雑則

第26条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。ただし、第3章(第9条を除く。)及び次項の規定は、規則で定める日から施行する。

(経過措置)

2 第3章(第9条を除く。)の規定は、前項ただし書に規定する規定の施行の日以後に行われる公告その他の契約の申込みの誘引に係る対象契約及び同日以後に行われる公告で指定処分の申請に係るものに係る指定処分について適用する。

(篠山市附属機関設置条例の一部改正)

3 篠山市附属機関設置条例(平成27年篠山市条例第9号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(篠山市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)

4 篠山市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(平成11年篠山市条例第46号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

丹波篠山市公契約条例

平成30年12月26日 条例第38号

(平成30年12月26日施行)

体系情報
第6編 務/第4章 契約・財産
沿革情報
平成30年12月26日 条例第38号