ロッテ中森俊介の故郷・丹波篠山市へ行ってみた(市長日記R2.12.8)

更新日:2020年12月08日

令和2年12月8日

日刊スポーツのプロ野球番記者コラムで次のような記事をのせていただきました。

(<ニッカンスポーツ・コム/プロ野球番記者コラム> 日刊スポーツ新聞社 金子真仁記者提供)

 

新大阪駅で買った弁当には、サービスで豚汁がついていた。住宅地だった車窓はいつしか山間部に。特急こうのとりに1時間近く揺られ、眠くなったころに「篠山口~」のアナウンス。東京駅を出て4時間後だった。

兵庫・丹波篠山市。「たんばささやま」と読む。ロッテのドラフト2位、中森俊介投手(18=明石商)の故郷だ。訪れた11月26日は、夕方に神戸市内で契約会見が予定されていた。本人に会う前に、ルーツを感じたくなった。

駅から市街地は少し遠い。自転車を借りる。受付のおっちゃんが優しい。「この道はね、歩道が狭いんですよ。危ないからここを曲がって…あ~違った、こっちこっち」。切れ端に鉛筆で地図を書き、懇切丁寧に説明してくれる。これぞ、生きた情報。宝の地図を手に入れた気分になる。

田園を爽快に走る。サドルが私の座高にピッタリ。こんなに神対応のレンタサイクルも珍しい。小雨でもテンションが上がる。信号待ちで、露店のおばちゃんから「こんにちは」。柿を売っていた。柿に栗に黒豆に。森も色とりどり。秋が似合う町だと感じる。

30分ほど走り、中心地の二階町通りに着いた。昭和風情の商店街。コロナ禍ながら適度なにぎわいがある。目当ての駄菓子店に着いた。この町の子どもの話を、あわよくば“中森少年”の思い出を聞いてみたかった。残念ながら休業日。せっかく来たから、市役所で広報誌をもらっていこう。中森投手が表紙を飾っているのは知っていた。

中森投手の入団祝の横断幕がホールに掲げられている

兵庫・丹波篠山市役所に掲げられる中森のロッテ入団を祝うボード(撮影・金子真仁記者)

名物の黒豆ソフトを満喫してから市役所に入ると、ドラフト指名を祝う横断幕がどーんと目に入った。ベンチで年配の方々が弁当を食べて交流しているのも、なんかほのぼの。「広報の部署はどちらですか?」。受付のお姉さんが忙しそうな作業を中断し、とても丁寧に案内してくれた。

あわよくば市長の思いを聞いてみたい-。総務課を訪れると、アポなしで訪れた私をすぐに秘書課に取り次いでくれた。お役所仕事なんて言葉とは無縁の、スピード感とぬくもり。「ごめんなさい、今日は市長はこのあともアポイントが入っておりまして」。そうですよね。今度チャンスがあれば電話取材を、と名刺を置いて市役所を出た。

さぁ神戸へ。駅へと15分走ると、見知らぬ電話番号から着信が。「実は今、市長が戻られまして、30分後でしたら少しお時間をとれるそうです。いかがですか?」。まさかいきなり行って、いきなり会っていただけるとは。酒井市長に、中森投手への期待をたっぷり聞くことができた。

橋の欄干にイノシシ像がついている

ロッテ中森の地元・丹波篠山には各所にイノシシ像がある(撮影・金子真仁記者)

電車の本数は多くない。予定より1本遅れても、契約会見にぎりぎり間に合うかな-。すると職員の方がレンタサイクルを軽トラの荷台に乗せて、篠山口駅まで送ってくださることに。わざわざ見送ってくださった市長は別れ際に「そうそう、半沢直樹の最新作にも丹波篠山は登場するんですよ」と笑っていた。

滞在は3時間弱。それでも、丹波篠山は会う人会う人が温かくて驚いた。全国各地をほぼ行き尽くした。町の印象は、接する人でけっこう決まる。二度と行きたくない町もあれば、短時間で魅了されることもある。同じ車両に高齢男性が乗ってきて、ドア横に座る学生に聞く。「これ、三ノ宮に行きますか?」。丁寧に説明しながら「それより、ここどうぞ」。人の少ない車内。ドア横をサッと譲る姿にグッときた。【金子真仁記者】

中森投手が表紙の広報紙「丹波篠山」2020年12月号

地元の兵庫・丹波篠山市の広報誌の表紙を飾ったロッテドラフト2位の中森俊介

仮契約の会見での千葉ロッテのユニフォーム姿の中森投手。「パイの実」が並べられていて手には自信が表紙を飾った丹波篠山の広報紙を持っている。

ロッテとの仮契約を済ませた明石商・中森は「パイの実」と丹波篠山市の広報誌を手に笑顔(2020年11月26日撮影)