人新世の「資本論」(市長日記R4.3.2)
令和4年3月2日
気候変動の被害が大きくなり、数十年から数千年、人間生活を翻弄(ほんろう)する時代になります。この「人新世」の時代に入れば、今まで通りの生活はできません。
上記の市長日記のタイトルは書籍の名前で、著者は斎藤幸平さん。ベストセラーになっています。
この斎藤さんが、3月1日に、新たんば荘での丹波同友会で講演されました。
4月からは東京大学の先生になられますのでまたとない良い機会でした。
講演では次のようにお話されていました。
「地球上の環境と格差を是正していかなければ明日はありません。
SDGsや緑の資本主義などは自己満足にすぎません。
本当に必要なことに取り組まなければ見せかけです。
例えばマックのハンバーガーを食べることがSDGsの筈がありません。
今の自分達の生活や社会のあり方を変えずに、技術だけで今の生活を維持しようとするのは現実逃避です。
新しい生活や社会(車のない社会、労働短縮、ジェンダー平等、地方分散など)を思い描くべきです。
唯一の解決策は「脱成長コミュニズム」なのです。
成長なきグリーン・ニューディール、公共サービスの拡充や環境負荷の大きい活動に課税することです。
ヨーロッパでは鉄道で3時間の距離なら飛行機に乗らないなどの取組みがはじまっています。
そして新しい快楽主義です。
資本主義の中で失われた別の価値を見出していくこと、それは家族との時間、趣味、スポーツ、読書、ボランティアなどがあげられます。
アイルランドのマイケル・ヒギンズ大統領はヨーロッパで初めて脱成長を説いたリーダーです。
成長しなくても、幸福度が上がるのです。
大胆な転換が可能なのか、議論すべき段階に入っています」
私たちの世代は「成長してこそ幸せがある」と思い込んでいますが、若い世代は決してそうではないようです。
20世紀は工業化の時代、21世紀は持続可能な社会への転換の時代にしなければならないのです。
更新日:2022年03月02日