「イラク戦争から20年」世界平和アピール七人委員会の講演会(市長日記R5.9.14)

更新日:2023年09月14日

令和5年9月14日

「世界平和アピール七人委員会」というのは、今田町出身の下中弥三郎さんが中心となって、昭和30年、各分野の第一人者7人が集まり設立され、世界平和を中心に高い見地からアピール、提言されるものです。

下中弥三郎さん没後50年の節目の2011年に丹波篠山市で記念講演会を開催したのを機に、以降毎年、丹波篠山市で開催しています。日本の各分野の第一人者の先生方のお話を聞けるとあって、毎年講演を楽しみにされています。

 

9月9日、市民センターで講演がありました。

今回は、千葉大学教授であり、イラク研究の第一人者である酒井啓子先生から「イラク戦争から20年日本と国際社会はどう変わったか」というテーマでお話をしていただきました。

講演の内容を少し紹介すると、イラク戦争は、2003年にアメリカを中心とする多国籍軍とイラクの間で起こった戦争であるが、「イラクが大量破壊兵器を保有している」という理由でした。

しかし、結果として大量破壊兵器の保有は確認されませんでした。このようにアメリカの思いでイラクを攻撃したのですから、ロシアがウクライナへの軍事侵攻をしても、ロシア側からすれば何が悪いという思いがあります。イラク戦争後は、中東では反米運動が起こり、内紛やテロが多発し、世界中の治安が悪化しました。中東からすると悪いのはロシアだけではないというものです。

 

中東の人々の日本観は

1、第二次世界大戦以降:日本の戦後経済復興への憧憬(しょうけい)

「非欧米なのに欧米に負けない経済力を身につけた、すごい!」「戦争であれだけ破壊されたのに、戦後復興がすごい!」

2、1973年以降:日本の工業製品への高い評価

「トヨタ、電化製品、建設…すべて!」

3、2003年以降:対米追随の日本の中東政策に不満

「第二次世界大戦で米軍に攻撃されたのに、米軍と協力してアラブの国(イラク)への「占領」に加担している」

4、そして、日本人の道徳教育に関心をもたれています。イスラムのお坊さんが「日本人はイスラム教を知らないのに最もイスラム的だ」と話されたそうです。

 

また、第2部では、酒井先生を囲んで、平和アピール7人委員会の委員である小沼通二先生(物理学者)、大石芳野先生(写真家)、また、下中記念財団専務理事の下中弘さん(下中弥三郎さんのお孫さん)、同財団常務理事であり平凡社代表取締役会長の下中美都さんのそうそうたるメンバーに、丹波篠山市から丹後教育長も登壇いただき、6人によるパネルデスカッションも行われました。コーディネーターを務めていただいた小沼先生は、90歳を越えられても大変お元気にされています。参加者にわかりやく進行していただきました。

 

ウクライナに対するロシアの軍事攻撃が続いている中、難しい世界の情勢を考えさせられる講演会となりました。ご協力をいただいた平和アピール7人委員会並びに下中記念財団の皆様、本当にありがとうございました。

 

世界平和アピール七人委員会 講演会中の写真
世界平和アピール七人委員会の皆さんの集合写真

左から、大石芳野さん、海老沼起美さん、小沼通二さん、酒井啓子さん、大西誠一さん(下立杭)、下中美都さん、下中弘さん、廣川和志さん