「今後の政治経済をどう読むか」(市長日記R6.4.3)

更新日:2024年04月03日

令和6年4月3日

丹波篠山市の春の企業懇談会で著名な政治ジャーナリスト、田崎史郎さんの「今後の政治経済をどう読むか」と題するご講演がありました。

内容をご紹介します。

 

記者として大事にしていることは1.取材相手が不遇の時にしっかり取材する。安倍さんが体調不良で1次の総理大臣を辞職後、周りの人も離れていき、取材すら来る人がいなくなった。そんな時に気になって私は安倍さんに食事を申し込んだところ、約束がとれた。

その後も継続して3カ月に1回の食事会を重ねたことが、信頼関係構築につながっている。食事会の話題で、安倍さんは「総理大臣辞職後のどん底の状態で、自分から離れていく人・新たに付き合いが始まる人がいて、その過程で人を見る目が養えた。」といい、この「人を見る目」がその後の政権運営に役立ったと聞いた。

2.もう一つ大事にしているのが、人間関係を維持する事。定期的に会いに行ったり、電話したり関係性を継続させたうえで、しっかり取材する。

 

田中角栄さんと安倍晋三さんには4つの共通点がある。

  • 2人とも人を動かす天才である。政治家はどれだけ他の政治家を動かせるかの競争である。田中さんは昔の政治であったので可能であったのだがお金で人間関係を築いていた。安倍さんは細かな貸し借りを積み重ね、人間関係を大切にしていた。2人とも人間関係を大切にしていた。
  • 敵愾心(てきがいしん)(相手に対する憤りや闘争心)の強さ。政治の本質は敵を作り、敵を倒していくものが政治の一面である。田中さん三木さん、福田さん、特捜部とも戦った。安倍さんは民主党と戦った。戦う姿勢を見せることで支持者を固めていった。
  • 実にあけっぴろげであった。田中さんは記者を自宅に招き、話をし、時には歌を披露する時もあった。安倍さんは食事会の際、記者からの質問や話題が途切れると、自分から記者たちを引き付ける内容の話をしてくれた。人に感動を与え、次もまた会いたいと思わせる人であった。
  • 理想をかかげた現実主義者である。郵政民営化(小泉)や保守主義(安倍)の理想をかかげた政権は長期化する傾向にある。

 

田中・安倍と比較して岸田首相は、理想がない現実主義者である。今、目の前にある課題を懸命に解決しようとしているため、大きな理想がない。

人を動かす力は安倍さんの1/2、田中さんの1/3である。派閥の人数から見てもそうである。

敵愾心の無さ。岸田さんは闘志を表に出さない。敵を批判しない、皆が燃え上がらない。

岸田さんはあけっぴろげどころか秘密主義である。自らの派閥の解散を他に相談せずに決めた。政倫審に自分が出て局面打開を図ったが、相談せず決めている。このやり方では仲間が増えない、大事なことを相談してくれたのだからこの人のために何とか支えようとはなりにくい。

これでは厳しい。政治を動かせなくなっている。

二階さんも田中角栄さんから学んだのは「政治は一人ではできない。」ということだと言っている。

今は課題があるから岸田おろしにはなっていないが、9月には自民党総裁選がある。岸田さんは再任が厳しいと思う。

政策能力が高いのは茂木さん。優秀でキャリアも十分積んでいるが、他の議員にも怒るため、人気がない。

上川陽子さんが伸びている。政策能力が高く、仕事に厳しいが、きちんと方針を決めることができる人である。人脈がないが、敵がないのも事実である。

もう一人小池百合子さんを注視している。4月に東京15区補選があり、ここに出る可能性があるのではないか。無所属で出てたぶん当選するのではないか。その後自民党に復党し、総裁選に立候補できるようになる。この流れで行ってしまうかもしれない。次の都知事選に出るかもしれないし、野心家なので補選からのチャンスに賭けるかもしれない。

 

岸田政権下で選挙に負けても、最悪、自民・公明・維新の連立政権か自公連立で、今の政権の枠組みはそのままではないかと思う。

44年間の政治記者をしているが、政治は川の流れである。常に流れている。これを取材するのが仕事である。全然違うことが起こることも政治なので、違ってもご容赦いただきたい。

 

※講演内容は企業懇談会事務局より提供

 

田崎さん、大上議員、市長、小畠議長ほか

田崎さんを囲んで(田崎さんは中央大学法学部のご出身、私より4つ上です。)