前川多仁(ろうけつ染め)

更新日:2021年10月14日

きれいに染められた生地の写真

前川多仁さん(ろうけつ染め作家)

プロフィール

前川多仁の写真

1974年 兵庫県篠山市生まれ
1993年・1994年 篠山市にて個展を開く
1997年 大阪芸術大学卒業、同大学にて1年間研究生として在籍
1997年 神戸三宮 高架下にて個展を開く
1998年 大阪ベイサイドジェニーにてアンチュニヤック(インディーファッションイベント)で舞台美術を担当
1998年 個展 ギャラリー「MARONIE」(京都)
2001年 個展 セレクトショップ「SHIPS」京都店
2001年 「世界工芸コンペティション/金沢」入選
2001年 「21世紀アート大賞2001」奨励賞
2002年 「日仏アートサロン2002」
2002年 「ビエンナーレKUMAMOTO」入選
2002年 「100oeuvres」(パリ)
2003年 「第6回 川の絵画大賞」入選
2003年 企画展「大阪芸術大学連携展/染職の尖鋭たち」(主催/豊中市教育委員会 協賛/大阪芸術大学)
2003年 「出会いアート展」(但馬)買い上げ賞(主催/但馬長寿の郷 後援/財団法人兵庫県芸術文化協会、八鹿町)

ろうけつ染めとは…

染めの技法の一種で、染める布にロウで絵や文字を書きます。その上でその布を染料で染めると、ロウを塗った部分は染料をはじき染まりません。そしてさらに、一色目の色を残したい部分にロウを塗り、二色目を上から染めていきます。そうするとロウを塗った部分は染料をはじき、一色目の色が残ります。また、ロウのひび割れや故意的につけた傷などにより、不規則な線が存在し、その線に沿って染料を流し込むことで模様を作り出したりもします。
最後にロウをすべて落とします(脱ロウ)。前川さんの場合はひとつの作品につき脱ロウは一回しか行わないとのことです。

前川さんとろうけつ染めとの出会い

前川さんのろうけつ染めとの出会いは、学生時代の恩師がきっかけだそうです。恩師の考え、思考に共感し、ろうけつ染めをはじめられました。ペイントなどとは違い、やり直しが聞かない、思い描いたようにはならない”不自由さ”に魅力を感じ、それはメリットなんだと考えられました。大阪・京都を中心に創作活動をされていましたが、3年前から実家の一部をギャラリーとアトリエに改装し、創作活動拠点を地元篠山に移されました。
現代美術作家として、伝統的な”ろうけつ染め”の技術を使われている前川さん。柔らかく、薄っぺらい布一枚に、パワーを注ぎ込むことにより、それは世界に2つとない現代美術作品となります。”赤”を使われることが多いそうで、それは、目に飛び込んだとたんに、大きなパワーを感じさせる色だからだそうです。
自分は日本人であるという思いが強く、「和の持つわび・さび・癒しなどの部分以外に、本来持っていたきらびやかで、パワー溢れる部分を表現していきたい」と力強く語られました。
将来的には、まず現在文化芸術の部分でも大変盛んになっている、中国での個展を実現する、そして舞台や映画など、エンターテイメントの分野に活躍の場を見出そうとしておられます。
前川さんの個展は、単に一つ一つの作品を並べるのではなく、ギャラリー全体を取り巻く空間を演出しておられます。「難しく考えずに、見て触って素直に何かを感じ取っていただきたい」と前川さん。実際に作品を手で触ることができる個展に参加してみてはいかがでしょうか。