平山照秋(古楽器製作者)

更新日:2021年10月19日

古楽器製作 平山照秋さん

◆ひとこと「興味はさらに近世の楽器へと広がっています」

平山照秋さんの写真

西宮市役所つとめから変身

前面に丹波盆地の田んぼが広がる篠山市小坂(旧西紀町)の山すそにちょっとモダンな白い家があります。このおうちこそ日本に数人といわれる古楽器制作家の平山照秋さんの自宅です。
一冊の本に魅せられて2×4工法(ツーバイフォー)で自ら設計建築した自宅。古楽器製作の傍ら自宅も製作中とのこと。97年の暮れに取りかかった製作もいよいよ最終段階とのこと。

家の写真

西宮市役所から独立へ

平山さんは1949年神戸市に生まれ、神戸高専を卒業後、西宮市役所に入庁(1970年〜1982年3月まで)。主に土木、下水道の事業専門職。
子どもの頃から絵を描いたり、版画を作ったりと美術が大好きであった平山さんは絵を描いたりする自由時間が多くとれるというのが市役所つとめの大きな動機とか。ところが実際は県庁・都市計画部門への出向したり、残業の山。
チェンバロ もともと芸術への志向が強かった平山さんは忙しい中にあって音楽を趣味とするようになります。市役所に入ってから楽器の演奏をはじめ、ギターを植木義法氏に師事。リュートをM・シェーファー、岡本一郎氏に手ほどきを受け、ビオラ・ダ・ガンバなどの古楽器演奏を楽しみながら、古楽器そのものの製作をはじめ、ついには演奏家、専門家からも高い評価を受けるようになり、多数の注文が受けるようになりました。
 

「もし、市役所が忙しくなかったらひょっとしたら絵の趣味の方が高じていたかもしれません」(平山談)
そして1982年西宮市役所を退庁し、独立することになります。友人の勧めで生活の拠点を丹波へ(氷上)さらに篠山市へと広げて、仕事だけでなく楽器の演奏会、指導など文化活動も積極的になされ、今や丹波のひととなっています。

楽器の写真

絵画彫刻まですべて製作

平山さんの楽器の魅力は絵から彫刻部分までその才能を活かしてすべて自分で製作されていることにあります。

チェンバロの写真絵画の写真

絵画とチェンバロ絵画部分)

大きな楽器ではひとつに3カ月以上もかかり、今現在も日本の演奏家から数多くの注文予約を受けた状態といいます。これまでに平山さんが製作したのはチェンバロ20台、ガンバ、リュート100台など。これ以外にも九州天草のコレジオ舘遣欧少年使節団の楽器などの復元事業も手がけています。

平山さんのこれからの抱負は「今興味はピアノ、ハープ、ギターなど近代楽器に向かいつつあります。この時代の楽器は非常に優れているからです」

 

 

アルペジオーネの復元へ

シューベルトの曲にアルペジオーネ・ソナタがあります。これは楽器の名前でもあり、ウィーンの楽器製作者シュタウファーが1823年に考案した弦楽器で、外観はギターの形をしたチェロで、ギターと同様に6弦もありフレットがありチェロの弓で演奏し、チェロより高音域の奏法が容易で、音色がヴィオラ・ダ・ガンバに似ているそうです。これを復元しようと考えています。日本では演奏をしたこともなければ多分誰もこれを聴いたこともないはずとのこと。
平山さんの創作意欲はさらに独創的な世界へと進んでいます。

工房 〒669-2731 篠山市小坂1041-1 電話:079-593-0939
 

※この記事は2001年8月に掲載されたものです。