安定ヨウ素剤の備蓄と小泉発言(市長日記H25.11.8)

更新日:2020年03月24日

一、 9月市議会で、万一の原発事故に備えて、安定ヨウ素剤を購入し、備蓄することとしました。

 安定ヨウ素剤とは、原発事故が起こった場合に放出される、放射性ヨウ素の甲状腺への取り込みを抑制し、甲状腺がんを予防するものです。

 40歳以上の方には、甲状腺がんのリスクが少ないと言われています。

 これは、今年の4月25日に、兵庫県が公表した原発事故時の放射性物質の拡散予測からです。

 篠山市は、福井県の高浜、大飯の原発からおよそ50キロと近く、万一、事故があった場合に、甲状腺の被ばく線量が7日間で最大167ミリシーベルトと、県下でも最も高く、これは安定ヨウ素剤の服用が必要となる国際基準の3倍にもなるものです。

 篠山市では、本年4月から、「原子力災害対策検討委員会」を設置していますが、そのなかで、安定ヨウ素剤の事前配布や、避難経路、方法の策定などの必要性が指摘されており、本年中に、おおまかな対策を示して頂く予定です。

 委員でもある兵庫医科大学の上紺屋(かみこんや)教授からは、「安定ヨウ素剤の事前配布が必要、服用の時期は事故が起きて放射性ヨウ素が飛んでくる1日前から直前に服用すると効果が高い、服用と避難は同時に行うこと、新生児や妊婦、甲状腺疾患のある人は保健師の指導が必要、副作用については、どの予防接種より少なく、0.0003%でほとんどないこと」などのお話を伺っていますが、何より大切なのは、市民の正しい理解が必要とのことです。

二、 このように、篠山市はできるだけの安全対策をとるよう進めていきますが、最も大切なのは、事故が起こらないこと、しかし事故は必ず起こりますので、やはり脱原発の道筋を立ててほしいと願います。

 小泉元首相の「脱原発」発言が波紋を広げています。無責任と言う人もありますが、私は正しいと思います。

 日本には処分場が見つかりません。仮に見つけて外国のように10万年深い地中に埋めるといっても、日本では、随所に断層が走っているので、安全な場所はないと言われますし、何より10万年先まで危険なものを残すことこそ、極めて無責任だと考えます。

 10万年先に地球がどうなっているのか、もしヒトが生き延びていたとしても、どんな姿になって、どんな言葉を使っているか、誰も分かりません。

 そんな想像すらできない未来にまで、今の私たちの生活のためだけに大きな負担を残し続ける生き方が、正しいはずがありません。これは純粋な心で考えれば、誰にも分かります。

 小泉発言は、私たちの今の生活だけでなく、未来への責任を思う発言です。