地方分権研究会(市長日記H26.4.28)

更新日:2020年03月24日

兵庫県市長会で、「関西広域連合」「道州制」など地方分権のあり方の検討を続けてきましたが、その課題を整理しました。

私が座長として、各市長の意見を取りまとめ、市長会で報告しました。

(1)関西広域連合について

知事の全員の同意により、意思決定されることとなっています。災害発生時の広域応援体制、ドクターヘリの運行など成果もあがっていますが、このような全会一致の決定方法では、大切な課題、緊急の課題などに対応できないといわれます。

又、一府県の首長が、広域全体の首長となりうるのか、議員については、住民から見て誰が議員かも判らないし、その議員に対する、住民からのコントロールの方法も整っていません。

住民からみて、市町村からみて、何にどのように取りくんでいるのか、よく分からず、情報公開もされていません。

設立されてから約3年、当初は地方分権改革の1つのあり方として注目をされ、国の出先機関の受け皿としても期待されましたが、関西でも、いまだ奈良県が加入されていませんし、全国的な広がりがありません。

(2)道州制について

経済発展のため、人口減少社会への対応のため、あるいは、国の財政健全化のためなど、その必要性があげられています。又、今の過疎化、少子高齢化に悩む地方自治体の現状から強い期待の意見もありました。

しかし一方、国と地方の統治機構の形を変えるだけで、経済発展や住民福祉が向上するのかという意見もありました。

又、人口が少なく、財政力の弱い自治体はどのようになるのか明らかにされていません。全国町村会が反対されているように地方交付税を廃止、削減と結びつき、地方は切り捨てられていくとの不安の声が強くあります。

全国を300あるいは1,000の市町村にするというなら、更なる市町村合併を必要とされることになり、そうすれば住民と自治体の関係は益々薄れるし周辺部が置き去りになってしまいます。

首都圏なら東京が、関西なら大阪が益々中心となり、一極集中が起こるだけではないか。又、全国的に見ても北海道や九州、四国はどうなるのかとの疑問もあります。

何より、各政党の公約を見ても中味が明らかにされていません。国は外交や防衛、国土保全などに権能を集約し、地方(道州)に権限を分配するというが、そうであるなら、国会議員を大幅に削減すべきであるのに、その第一歩の議論もスタートしていません。

(3)そこで先ず、できることは

以上のとおり、関西広域連合は連携、調整の機能にとどまり、道州制の議論も、まだこれからどうなるのか不透明です。

先ずは、市長会と兵庫県の関係においても、対等の立場で、より分権が進むよう、ひとつひとつ、取り組んでいきたいと考えます。

今後も引き続き、地方分権や国の統治機構のあり方について、常に、問題意識を持ち続ける必要があります。