マイ助産師ケアセンターの予算の取り下げについて(市長日記R2.6.22)

更新日:2020年06月23日

令和2年6月22日

市議会に提案している「マイ助産師ケアセンター」の予算について、これを取り下げることとしました。

詳細は次のとおりです。

マイ助産師ケアセンターの予算の取り下げについて

市議会に提案し、6月25日の本会議で審議される「マイ助産師ケアセンター設計業務委託料9,990千円」については、これを本日付けで取り下げることとします。

取り下げの理由

 

1. 上記については、市議会において、6月4日の予算決算委員会民生福祉分科会において賛成全員、6月16日の予算決算委員会全体会の審査において賛成多数により可決していただいており、6月25日の本会議で審査されることとなっていました。

 

2. ところが、6月12日付けのタマル産婦人科の生川医師のブログで、分娩休止の意向が示され、そのため6月19日、丹波篠山市長がタマル産婦人科に赴き、生川医師と協議をしたところです。

 

話し合いの内容については、

  • 市からマイ助産師ケアセンターの事業によって、タマル産婦人科の運営に支障が無いよう「妊婦健診」をするものではないことを説明しました。生川医師からは、「産後のケア」もタマル産婦人科で行っているため、市においてする必要がないとの意見でしたが、市からはタマル産婦人科以外で出産される方も6割あるし、産前でも気軽に立ち寄れる場所が必要だと考える旨お答えしました。

  • 生川医師からは、市から相当額の金員の助成が必要だとされました。生川医師によると、「市に産婦人科があるというだけで、大変恵まれたことである。丹波市なら開業するだけで1億円の助成がある。兵庫医大や救急を扱っている病院も多くの助成を受けている。私は、毎日救急を扱っているのと同じなのに、何もしてもらっていない。兵庫医大への助成を削って、タマル産婦人科に助成すべきだ」というものです。これについては、市長から「兵庫医大と協議してみますが、削るのは難しいと思われます。その時には、市からの助成を検討させていただきます。」とお答えしました。

いずれにしても、今後とも協議を続けることとし、市長から生川医師に対し、「丹波篠山市が、出産、子育てのまちとなりますよう、何卒、今後共のご活躍を」とよろしくお願い申し上げました。

 

3. ところが、その後、市議会議員のフェイスブックで、「生川医師は、『6月25日の本会議の結果をみて、分娩中止の発表をする。』」「賢明な議員諸氏は、『将来に悔いることが無いよう慎重に判断されると信じたい。』」との発言がなされ、市民にも広がっています。

 

4. よって、このままでは、議会での適切な議論が望めないし、市としても、市民に誤解を与えるべきでないと考えたもので、そのためには、本件の議案分を一旦取り下げるしかないと判断したものです。

一旦取り下げて、生川医師と協議を尽くしたうえ、慎重に判断したいと考えています。

 

 

なお、これまでの経過は次のとおりです。


令和元年5月に兵庫医科大学から、産科医不足を理由に「令和2年4月からのささやま医療センターの分娩を休止する」との意向が示されました。
しかし、市では、ささやま医療センターは分娩できる産科、小児科があってこそ市の中核病院といえるものであるから、分娩休止は受け入れられない、市民の期待に応えてほしいと再三お願いし、市民からの存続の要望書1万7427筆も提出しました。
兵庫医科大学とは、兵庫県の立ち合いのもと、6回協議を重ねましたが、残念ながら分娩休止は変わりませんでした。

上記の意向を受けて、令和2年5月からささやま医療センターの産科充実に向けての検討会をお母さんたち、市民、助産師、看護師、医師会の先生を交え、検討しましたが、医大の分娩休止がやむを得ないものとなってからは、「市の産科充実に向けての検討会」として、これまでのべ9回にわたり、検討を重ねました。
この検討会によって、次のとおりの対策をとりました。

 

・お産応援窓口の開設
妊娠、出産に対して不安を抱える妊婦さんに対して、助産師の訪問(産前2回産後1回)などによる、きめ細やかな寄り添い支援を実施します。助産師の寄り添い支援によって、女性自らが積極的に分娩にのぞめ、安心、安全なお産、その後の健やかなお産につながることから、「マイ助産師制度」のさきがけとなるようなお産応援窓口をめざします。

 

・出産支援金支給事業
令和2年4月以降に出産予定の妊婦に対して、市外医療機関受診のための交通費や育児用品などの購入費として、1人当たり10万円を支給します。

 

・お産応援119
令和2年4月からは、半数以上が遠方の市外医療機関での分娩となります。そこで、妊婦さんが安心、安全に出産を迎えるために、出産の兆し、または異常などで緊急に救急搬送が必要となった場合に、救急車が分娩医療機関まで搬送する「お産応援119」を実施します。

 

そして、より根本的にバースセンター設置の検討もしました。

・「バースセンター」設置の検討
「バースセンター」とは、助産師の主導で健診や分娩、産後ケアを一貫して行う助産施設です。昨今の産科医師不足を補うだけでなく、助産師が妊婦に寄り添い、女性本来の生きる力を培い、健やかな子育てに導きます。
産科検討会では12月に、「大阪府高石市立母子健康センター」を見学しました。全国に数少ない公立の助産所で、医療機関と綿密に連携し、助産師が一人一人のお産にゆったりと大事にかかわることで信頼関係を構築し、妊婦の産む力と赤ちゃんの産まれる力を存分に発揮できるお産をめざしておられました。


しかし、これは、分娩は医師の手によらなければ、安全が担保されないという医師会の先生からの意見もあり、また、嘱託医師の確保も困難と考えて断念しました。

 

そこで、検討会の専門部会で提案されたのが、「マイ助産師ケアセンター」設置であり、検討会でも女性の立場に立った良い施策である、不安をかかえる妊産婦も多い、丹波篠山への定着にもつながると賛同されました。
これは、市内のすべての妊産婦に担当助産師が付き、出産場所やリスクに関係なく、産前のケア、産後2週間から1か月頃の産後ケアと赤ちゃん訪問などに、訪問や来所などで関わるものです。

妊婦にゆったりと過ごしてもらい、実家に帰ったような安心感を持ってもらうための「場所」も必要で、今の丹南健康福祉センター内では、手狭なためにこの付近でのセンター建設もめざすこととなりました。
ただし、医師の委員からは、「お金が掛かるのはどうか、ハコモノありきではないか」との意見も出されましたので、できるだけお金をかけないよう、国県などの支援なども考えることとし、少しでも若い世代に選ばれやすいまちをめざしたいとしました。

 

このようにして提案したのが、今回のマイ助産師ケアセンター施設の設計費用です。
なお、建設には、約1億円を見込んでいますが、このような保健福祉事業の充実に使うため金5,000万円の寄付があり、また、国県の補助も検討しています。