タマル産科の分娩再開に安堵(市長日記R2.6.30)

更新日:2020年07月02日

令和2年6月30日

新聞によると、市がマイ助産師ケアセンター設置の予算を取り下げたことから、タマル産科は分娩再開を決めていただいたとのことです。ここに敬意と感謝を申しあげ、多くの市民がタマル産科を必要とされていますので、何卒、さらなるご活躍をお願いいたします。ひとまず安堵しています。

 

さてこの件について今一度整理すると経過の概略は次のとおりで、反省も残念に思うこともあります。

6月2日に市議会に、マイ助産師制度(ひとりひとりの妊婦に助産師をつけてケアを行う制度)のソフト事業とともに、その拠点となるケアセンター設置(建設)にかかる設計業務約1000万円を提案しました。マイ助産師制度については全議員異議はありませんでした。ケアセンター設置(建設)についてはその必要性や具体的なものが見えないことなどが議論となったものの、6月4日の予算決算委員会民生福祉分科会において賛成全員、6月16日の予算決算委員会全体会において賛成多数によって可決されていました。

6月25日の本会議で可決の見通しでしたが、6月20日、二人の市会議員さんから「(市のケアセンターは民業圧迫となるので)タマル産科が6月25日の本会議の結果をみて分娩中止の発表をする。」とのブログなどでの発信がありました。そこで、このままでは市議会での適切な議論が望めない、市民に誤解を与えるべきでないと考え、この議案を取り下げたものです。

 

(一)今回の件について、反省すべきは、ケアセンター設置(建設)について、改修か新設か、場所をどうするかなど設計と並行して進めていけば良いと考えたために、十分な検討ができていませんでした。これは一日も早く市民が安心して出産できる体制を作りたかったためなのですが、今後に生かしたいと思います。

ささやま医療センターの分娩中止の意向を受け、昨年5月から市民交えての検討会で色々と検討する中、バースセンターの検討をしたこともありますが医師の確保や安全面を考えて断念し、検討会の専門部会で提案されたマイ助産師による産前産後のケアを行うことで、女性を大切にひとりひとりの妊婦さんに寄りそうことが良いとされました。

この制度は丹南健康福祉センターではじめますが、ここは人の往来が多かったり手狭であることから妊婦さんが落ち着かれる「場所」も必要だとされ、ケアセンター設置の方向となったものです。これに約1億円を見込んでいましたが、このような保健福祉事業の充実に使うため5000万円の寄附と国、県の補助で財政的におさえる工夫も考えていました。

ところが、それをハコモノと批判する声があり、ハコモノというと合併時の図書館(事業費19億円)・チルドレンズミュージアム(事業費18億円)などを連想して印象が悪かったのかもしれません。

何とか女性に選ばれる出産、子育てしやすいまちを求めて取りくんできたものですが、これについては、もう一度一からの見直しをさせていただきます。また、財政のことをご心配いただく堅実なご意見をうれしくも思いました。

 

(二)市内唯一となる「タマル産科」のご意向を十分酌めていなかったこともあります。

昨年9月に訪問させていただいた時、タマル産科は市内の3割の妊婦さんがお世話になっている大切な分娩医療施設であること、市が補助をして医師の確保などを行って、市の分娩医療施設のような役割を果たしていただけないかといったお話をしたこともあります。しかし、そうなると自由がきかなくなる、自分のところも分娩数が減るとやめざるを得なくなるとのお話でした。

この時、生川医師から

1. 妊婦健康診断を現行の10万1000円から12万円に引き上げる

2. 兵庫医大への1億2600万円の支援の中止

3. 分娩のお祝い金について第3子以上を100万円にする

4. マタニティータクシー導入

5. 一般不妊治療にも助成をする

とのご要望をいただきました。

できるだけご要望にお応えすべく1.と5.はそのまま実施(予算全体で、妊婦健康診断は475万円の上積み、一般不妊治療は150万円の上積み)、4.については、タクシーではありませんが、この4月から「お産応援119」で、出産の兆候が始まり自力やタクシーで病院に行けないなど緊急な場合に救急車の利用を可能にしています。ささやま医療センターの分娩休止がはじまりタマル産科へは市民全体の3割から4割近くの方の利用へと上昇していましたので、さらにご活躍をいただけるものと考えていました。

そして、今回、市が考えていたのは分娩ではなく、あくまで産前産後のケアで、医療機関にもメリットがあるものと考えていましたし、担当者としてはその旨の説明もしていると考えていました。今後のケアを考える時においても、民業圧迫と言われ、誤解されることは差し控えたいと考えますが、6割以上の方はタマル産科以外で出産されますので市民全体のこともあわせ検討します。

 

(三)そして残念なのは市の姿勢について、市民の方から抗議のような意見が相次ぎ市民から誤解されたことです。

お二人の市会議員さんが添付され拡散されたタマル産科のブログでは「(市長が6月10日にタマル産科にあいさつに出向いた際)助産所を作ってお産までするという話でした。扱い件数は100人以上ですって。お産をやりたい助産師と市長が中心になって悪政を進められているのです・・・」とあり、善良な市民はこれをそのまま受けとられた様です。しかし、この日は産前産後のケアをはじめることへの説明とタマル産科の診療に支障のないよう配慮しますと申しあげたのです。

6月19日のタマル産科のブログで、市長に対し3つの提言を公表されましたので、同日、タマル産科に出向いて、生川医師の3つの提言について、

1. 助産師による健診はしないし、タマル産科の運営に支障のないよう配慮する

2. 産科充実の検討会のメンバーになっていただく

3. 兵庫医大の助成を削ることが難しい時は市においてタマル産科への助成を検討する

などと誠意をもってお答えしました。

 

市民からすると市会議員さんは市政に精通されていると思われていますので、事実と異なることを発信されるのは本当に困ります。

 

今後、市民の声を受け、タマル産科がさらにご活躍をいただけるよう協議をさせていただきたいと考えています。