土井 英樹様より(1983-84ワラワラ高校留学)

更新日:2022年08月17日

"You can do it, just you don't."

1983年の夏、姉妹都市委員会のお世話になり、ワラワラで一年間の留学を体験させてもらえることになった。

私がお世話になったのは、ニミック一家。姉のコニー、同い年の兄弟ティム。それに年の離れたおしゃまな4歳の妹ナタリーの家族だった。初めてお会いした時は全く会話が通じていなかったはずだが、皆さんがニコニコと微笑んでらっしゃったことが印象的だった。それから一年間、私をゲストではなく、本当の息子として扱っていただけたのは本当に幸いであった。

今でも覚えていることがある。日本人の癖かも知れないが、何か新しい体験を提案されると、つい「I can’t.(それはできません)」と言ってしまう。学校で日本についてスピーチしてみてと言われた時も「I can’t」、農場で馬に乗ってみようよと提案されても「I can’t」。失敗をするのも怖かったが、それよりも相手に迷惑をかけてはいけないと強く思っていたことの方が大きいだろう。いわゆる「遠慮することが美徳」の精神であった。今から思うと日本の文化一つしか知らなかったので当たり前の反応だったのかもしれない。

あまり私が「I can’t」と繰り返すからか、お父さん、お母さんも号を煮やされたのだろう、「Hideki, you can do it, just you don’t.(あなたはできるよ、やらないだけだ)」と強い口調で諭されたことがあった。この言葉に続いてウワーッとその精神を説明された。(その時の私の英語力では十分理解できなかったが)米国においては、できる・できないではなく、チャレンジしないことが恥ずかしいという異なった文化を知らされた瞬間であった。

自分の視野を広げる上で、留学経験は大きな意味がある。本やメディアからの知識より、自分の体験による知識は圧倒的に大きく確実。翻訳ソフトで通訳が必要なくなる時代が来ているが、留学で学ぶことは語学だけでなく、文化を学んでいることに大きな意義があるのだと思う。素晴らしい留学の体験をするこの機会がいつまでも継続することを願う。

土井英樹さんとホストファミリー

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