11 竜を退治した話 大山下

更新日:2020年06月25日

其の十一●竜を退治した話 ■大山下

昔、むかし、おおむかし。多紀郡がまだ一面に水をたたえて、大きな湖だったころのことです。
湖の底に一匹の大きな竜が棲んでいました。この竜がたびたび出てきて、人の命をとるので、大変困っていました。ある日、とても力の強い神様が、この大きな竜の頭をねらって、たった一矢で殺してしまわれました。
湖水は、竜の血で真っ赤になりましたが、それからだんだん水がへってしまって、みんな安心して住めるようになったということです。
この大竜というのは、実は、多紀郡の真ん中を東から西に流れる篠山川の形を竜にたとえていったことで、その頭が川代の大滝の所にあたるのです。
神様が、川代に矢を射たということは、水を落とすために、川代を掘り割る大工事が行われたことをいったのです。その大工事によって湖水が一ぺんにひいて、真ん中に篠山川が残りました。つまり、竜が姿をあらわしたのです。