16 足立ち地蔵 追入

更新日:2020年06月25日

其の十六●足立ち地蔵 ■追入

明智光秀の頃、その弟の光春と光忠が、心を合わせて保月城と高見之城の陣を取る計画をしていましたが、光春は病にかかり体力が次第に衰えていきました。
ある夜、熱にうかされていると弘法大師さまが、
「仏さまが土砂に深く埋もれておられるので、仏さまを掘り起こしてお祀りしなさい。」
というお告げをされる夢を見ました。
光春はお告げのとおり、すぐ人を使って、その仏さまを掘り起こし、谷の口の清池できれいに洗いお祀りしました。すると、みるみるうちに光春の体は軽くなり、すっかり病気が治りました。そして、保月城と高見之城をまたたく間に落としました。その後、お地蔵さんを建て、これはありがたいことだといってお祀りしました。
金山の頂上には、明智光秀の築いた山城、金山城があります。また、そのふもとの鐘ヶ坂はその頃、京へ通じる唯一の街道でしたが、その山越えも大変でした。
その時代、追入は宿場町として栄えていました。多くの旅人は必ずこのお地蔵様に長い旅の安全を祈ったものです。又、村の人達も病気になれば大八車に病人を乗せてお詣りに連れていきました。足が痛くなった時も、「どうか足の痛みを治して下さい。」と毎日お詣りにいったものです。すると、不思議に病気や足の痛みが治り、元気で野良仕事や山仕事が出来るようになったということです。
このお地蔵さまは、今も「足立ち地蔵」としてお祀りされ、足が痛くなるとお詣りする人があります。