20 三ツ子塚の金の鶏 北野

其の二十●三ツ子塚の金の鶏 ■北野

北野の萩谷に、三ツ子塚と呼ばれる三つの塚があります。
1つはすでに壊され、二つのみが今に残されていますが、この塚の中に金の鶏が埋められているとの言い伝えが昔から伝わっていました。
その昔、一人の元気な農民が塚に埋めてあるこの金の鶏を掘り出そうと考え、いっしょうけんめい掘り出しました。そうすると、自分の家が火事で燃えている白昼夢を見ました。家に取って帰ってみましたが、火事の気配はなく、また戻って来て掘り進むことにしました。
すると、またも同じ白昼夢に取り付かれました。
再び家に取って返しましたが、家はどうこうという異常もなく、不思議に思いながら
さらに戻って来て掘り進んでいますと、今度は本当に農民の家の方角が真っ赤に
なりました。
びっくりした農民が急ぎ帰ってみると、家は大きな炎に包まれ、棟は焼け落ちる寸前となっていました。
このようなことがあって以来、土地の人々は三ツ子塚を、「火はしか」というようになりました。それ以来、この塚を恐れるようになったということです。