ほらくらべ

更新日:2020年06月25日

大きな竹と大きな樽が描かれた絵

むかし、篠山の人と摂津の伊丹の人が、ほらの吹き合いを始めました。
まず、丹波の人が、
「丹波篠山には、三嶽という高い山がある。その山のてっぺんに、三本の大竹が生えとって、冬になって竹に雪がつもると、その竹がしわって、さきが丹後の宮津の海につかる。春になると雪がとけて竹が立つと、その竹の葉にぎっしりと蛤がついていて、三嶽のてっぺんに蛤の山ができるんや。」
と、いばりました。
すると、伊丹の人は、
「伊丹には酒屋がぎょうさんあって、そこには大きな酒だるがあって、その酒だるのまわりは、どのくらいかというと、三里から四里にもなる。」
と、やりかえしました。
そこで、丹波の人が、
「その、酒だるの輪はどうして作るのか。」
と、問いかけましたら、ぐっとつまって、
「そりゃ、丹波の三嶽の竹で作る。」
と、いったので、伊丹の人が負けたそうな。