勇女「そよ」(後川)

更新日:2020年06月25日

刃物を持った男と布団に入った女が描かれている

後川の新家友七という農夫に「そよ」という妻がありました。元治2(1865)年8月16日のことです。
友七は、その夜、村の集会に出て、妻「そよ」は一人で留守をしていました。盗人が入ってくる気配を感じ、耳を澄ませて足音を聞いていました。そして、近づいてきたと見るや、飛び起き盗人の持っている刃物をうばいとろうとしました。その時、腕に切り傷を負いましたが、それでもひるまず、もみ合って刃物をうばいとりました。盗人も傷をうけてとうとう何も取れずににげてしまいました。
その場で、取り押さえられなかったことは残念でしたが、かよわい女であるのに身をも手刃をうばいとり一家の危機を守ったこと
は、すばらしいことでした。
その夜の賊は、源三郎という同じ村の男で「そよ」が抵抗したときに受けた傷が手がかりとなって捕らえられたのでした。
とり調べられているとき、源三郎は、
「めずらしく強い女だった。」
と、いったそうです。
「明治孝節録」という書物は、日本全国にわたって調査した孝子忠節、勇婦、烈女、貞婦等を列記した物です。