歯のはなしvol.51 むし歯の歴史

更新日:2020年03月24日

 今、8020運動などにより、子どものむし歯は次第に減っています。はたしてむし歯の歴史は、いつ頃から始まったのでしょう。

 紀元前2000年のバビロニアでは、歯の痛みは、歯虫という生き物が起こしていると考えられていました。アヌ神におはらいの呪文を唱えたあと、麻痺作用のある木の実を焼いて処方されていました。

 むし歯による歯の神経の痛みは、今も昔も変わらず耐えがたいものだったのです。パキスタンで、9000年前新石器時代の遺跡から、歯にドリルのようなもので穴を開けて治療したような形跡のある人骨が発見されました。木で火をおこすような回転摩擦による道具を用いたと思われます。南アメリカやエジプトなどで装飾や呪術的理由から歯に装飾を施す場合もありますが、その場合穴の周囲にむし歯が残りますし、純粋に治療目的で削ったのだと思われます。ですから、9000年前には、むし歯の治療が行われていたということになります。

 日本では、縄文時代から弥生時代に変わり、硬い木の実などを中心とした食事から、米などの軟らかい食事に変ったとき、むし歯の急激な増加がありました。軟らかいものは、歯につきやすく、歯の表面で酸を発生させて歯を溶かすからです。

 現代のむし歯は、世界大戦後、GHQにより持ち込まれたガムやチョコレートなどによる砂糖消費量の激増によって急激に増えました。8020運動などの歯科保健活動やフッ素入り歯みがき剤の普及などによって、むし歯の洪水といわれた状態から、今のレベルにまで減らすことができました。

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