教400 楽しんでくれれば大成功 こども狂言春の発表会(教育長ブログ R5.3.23)
丹波篠山市在住の狂言方山口耕道先生が指導する篠山こども狂言の春の発表会があって見学した。4歳児から小学校6年生まで、6人の子どもたちが精一杯役を演じていた。山口先生は最初のあいさつで「楽しんでくれれば大成功」とおっしゃったが、子どもたちは楽しみながら多くのものを学んだに違いないじょう。
山口先生は、「狂言の台詞を教えると、大人は言葉の意味を探ろうとするが、子どもは(意味ではなく)音として身体に染み込むように入っていく。それだけ純真無垢な子どもを指導する責任を感じる」とも話された。
教育長は、冒頭に「これはこのあたりに住まい致す教育長でござる」と狂言風の言い回しで拍手をもらったが、かつて山口先生に20年間ほど狂言を習っていた。
教育長自身も、狂言を通して多くのことを学ばせてもらった。例えば、「個性を大切に」とよく言われるが、「個性というのはそんな表面的なものではなく、基礎基本(狂言なら『型』)を徹底的に身に付け修得する中で、にじみ出るものである」ということがある。
他にも多くのことを教えてもらった。子どもたちも、礼儀や作法はもちろん、緊張の中で練習の成果を出す高揚感や達成感等多くのことを学んでいる。
子どもたちは、時に台詞の出だしに詰まることはあっても、裏方の助言を受けて、教えてもらった台詞や所作を全力で演じていた。そのたどたどしさがかえって観るものをひきつけ、笑いや拍手がおこっていた。
丹波猿楽の盛んだった丹波篠山に暮らす子どもたちが、猿楽から発展した狂言という伝統を受け継ぎ、心豊かに成長していることを嬉しく思う。
指導を続けておられる山口耕道先生をはじめ、事務方を務める保護者の方など関係者の皆様に感謝申し上げます。
子どもたちの演目「以呂波」(いろは)「呼声」(よびこえ)「膏薬煉」(こうやくねり)、番外で師匠方が演じられた「太刀奪」(たちうばい)の中には、教育長がこれまで演じた演目もあり台詞や所作を思い出しながら観ていたが、忘れている部分も多く、狂言で学んだ大切なことも忘れていないか心配になってきた。
更新日:2023年03月23日