教570 貴重な提案 市議会師走会議(教育長ブログR5.12.14)

更新日:2023年12月14日

第124回丹波篠山市議会師走会議の一般質問が始まった。今回は14人の議員が質問され、3日間にわたって行われる。以下は一般質問第一日目(12月13日)に行われた質問で、主に教育委員会に関するものの質問の要旨と1回目の答弁だが、再質問や教育委員会以外への質問にも、各議員の熱い思いが感じられ、貴重な提案があったじょう(~「じょう」は丹波篠山の方言を使っています)。
 

 

一般質問の詳細は、以下の答弁書を見てほしいが、特に教育長が再質問・再答弁等で強く心に残っているのは以下の通り(一部です)。

・今年八上小学校の夏休み探究学習発表会を見て思ったのは、自由研究の内容が多様で児童が主体的にテーマを決め、それに挑戦したことで自信や自己肯定感が付き、上級生の発表を見て下級生があこがれを抱き、上級生のリーダーシップや相互のコミュニケーションが高まっていた。これこそ丹波篠山市が目指す主体的、対話的、達成感・憧れがある深い学びだ。

・不登校の原因や状況は個々に違うので、その子にあった居場所が必要で、市適応指導教室、校内フリースクール、別室登校、民間フリースクール等の多様な居場所や学びの場があることが大事。

・各地域における賑わいづくりやまちづくりの主役は地域住民だが、行政も適切な支援や関りで同じ方向を向いて盛り上げていきたい。

 

【通告番号】個-1 隅田 雅春 議員

【質問事項1】更なる教育改革を

1夏休みの宿題について

2  1人1台端末の活用について

3  小学校併設の幼稚園の在り方について

4  フリースクールを中学校校舎内に

【質問主旨】

1多様化する社会を主体的に生き抜いていく力を育成していくには、一律の宿題提供は検討、廃止していくべき。画一的な夏休みの宿題の提供をやめた八上小学校の取組について、どのように検証されたのか。また、本市において、今後どのように展開しようとしているのか。

2すべての学校で1人1台端末を自宅に持ち帰れるようにすべきと考えるが、教育長の見解は。

3多紀、西紀、味間の各校を除く11校で小学校長が園長を併任されている。併任の園長は小学校教育だけでもやるべきことが多岐にわたるうえ、幼児教育にも取り組んでいかなければならない。働き方改革も進んでいる中、着任した小学校に幼稚園が併設されていたら園長を兼務させ、園長手当8,000円を支払うだけで問題はないのか。専任園長の配置や兼務させる幼稚園業務に力を注げるモチベーションを上げるためにも園長手当の増額が必要と考える。

4・ゆめハウス、篠山中学校内にある適応指導教室の現状と課題は。

・モデル校を創設してはどうか。

 

【教育長答弁】

「質問事項1 更なる教育改革を」について、お答えします。

まずは、「1夏休みの宿題について」、お答えします。

家庭での学習を主体的な学びにつなげることについては、丹波篠山市でも大切であると考えており、保護者向けに啓発リーフレットを配付したり、教職員向けに研修を実施したりして、宿題が主体的な家庭学習になるように取り組みを進めています。

議員のご指摘の通り、八上小学校では今年度、夏休みの宿題の見直しを行い、内容などを変えました。これまで配付していたプリント集や絵日記、読書感想文の課題を失くししました。その代わりに、2学期の予習として2学期の計算ドリルと漢字ドリルを配付しました。これまでであれば、2学期の計算ドリルや漢字ドリルは2学期の初めに配付していましたが、夏休みの課題として配付することで、子どもたちは2学期の予習として各自のペースで取り組めるようになり、2学期に授業で復習するという学習の流れにしました。

また、2学期に実施する「夏休み探究学習発表会」に向けて、自分で課題を決めて探究学習に取り組むよう指導しました。一人一人が発表する機会を持つことで、発表に向けた準備や練習を通して、子どもたちのプレゼン力が向上しました。子どもたちが取り組んだテーマには、「朝食や昼食づくり」「タブレット端末の効果的な使い方」「水のろ過実験」などがあり、各自の興味関心に基づいてテーマを決めていましたが、内容の質には個人差があり、発表の型を示したり、個別指導を丁寧に行ったりすることの重要性が明らかになりました。

八上小学校では、これまでにも日常の宿題も自分で課題を設定して学習できるよう取り組みを積み重ねてきています。夏休みの宿題を主体的な学びに変えた取り組みは、これまでの指導の成果と考えており、今後も取り組みを改善しながら継続していきます。

他の学校でも、一律に取り組む課題と自分の学習目的に応じて選べる課題を準備したり、タブレットドリルで個別学習に取り組めるようにしたり、夏休みの宿題を主体的な家庭学習に変えていく取り組みを進めています。各自が自分でテーマを設定して取り組む課題は、すべての小・中学校で取り組んでおり、主体的な学びに向けた宿題の改善を進めているところです。

宿題を主体的な家庭学習に変えていくためには、まずは教職員や保護者など、大人の宿題に対する意識変化が必要です。また、子どもたちが主体的に家庭学習に取り組むためには、発達段階に応じた適切な指導が欠かせません。今後も各学校で発達段階に応じた取り組みを進めるとともに、学力向上プロジェクトチームによる保護者向け啓発リーフレットの改訂発行や教職員研修を通して、主体的な家庭学習の充実にむけた取り組みを進めます。

 

続きまして、「2  1人1台端末の活用について」、お答えします。

令和2年度末にGIGAスクール構想により1人1台端末を整備しました。端末を整備した当初は、子どもたちが端末を適切に使用できるようになることを最優先し、学校での指導に重点を置きました。また、端末の故障や動画視聴、SNSトラブルなどの不適切な使用などへの懸念、インターネット環境がない家庭への対応等の課題があり、端末は原則として学校で使用することとし、必要に応じて学校長の判断により持ち帰ることができるようにしました。

これまで3年間の取り組みにより、端末の活用率と子どもたちのスキルは飛躍的に向上しています。持ち帰って家庭学習に使用する学校も増えています。最新の調査結果では、14校が端末の持ち帰りを実施しており、予習や復習、自主学習など主体的な家庭学習に活用したり、宿題の効率的に活用したりしています。

しかし、持ち帰った端末で不適切なサイトを閲覧する、友達の悪口を書き込む、といった、不適切な使用事例もあり、持ち帰りを控えている学校もあります。

端末を適切に使用して、家庭学習を充実させるためには、夏休みの宿題と同様に発達段階に応じた継続した指導が必要です。現在、教職員に向けては情報モラルに関する研修会を実施しています。各学校においては、情報モラルやネットリテラシーに関する学習を実施し、端末の適切な使用に向けた学習を継続しています。

丹波篠山市では、GIGAスクール構想による端末を有効に活用できています。今後も端末の持ち帰りを含め、子どもたちがGIGAスクール構想の環境を適切に活用し、主体的な学びを実現することができるよう、情報モラル教育の充実と教職員研修の充実を進めていきます。

 

続きまして、「3小学校併設の幼稚園の在り方について」、お答えします。

小学校長が幼稚園長を兼任していることの教育的効果は非常に大きいものがあります。幼稚園教育から小学校教育へのスムーズな移行はもちろんのこと、小学校に5歳と4歳の2学年が増えたと捉え、幼小合同での行事開催など、小学校職員も幼稚園教育に関わる機会が増え、幼稚園児が小学校の児童に憧れ、親しみをもつなど更なる教育的効果を見ることができます。

幼稚園と小学校では、幼小のスムーズな連携を行うためのカリキュラムを作成するなど、きめ細かい連携が行われています。また、幼小合同の学校運営協議会を設置するなどし、小学校教諭も含めた全職員が4歳児から6年生までの園児、児童を見守る体制が作られようとしているところです。

幼稚園長を兼任している小学校長の園長手当の支給については、「丹波篠山市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例」で定められており、平成12年第13回定例会において提案されています。幼稚園長及び幼稚園教頭手当については、従来慣行的に支給されていましたが、給与等の支給が条例を根拠に支給すべきことから条例が制定されています。

現在、園長手当については、その月額は8,000円、教頭手当の月額は4,000円と定められています。幼稚園長の業務としては、文書確認業務、休暇の承認、指導要録の確認、出席簿・園日誌の確認、予算執行の管理と確認、事故報告書類の確認等、また、園施設の管理や営繕、警備防災、行事の計画等の業務があります。これらは園長手当の額が定められた平成12年度当時から変わりなく行われている業務です。

しかしながら、近年は以前よりも幼稚園と小学校との連携が重要視されていることから、幼小の架け橋となる保育・教育を考えたり、特別な支援を必要とする園児が増加傾向にあるため、幼稚園教諭との打ち合わせや保護者対応をしたりするなどの業務もあります。また、以前は設置されていなかった、学校評議員会や学校運営協議会(コミュニティスクール)に関する業務も新しく加わっています。これらのことから幼稚園長としての業務は増えていると考えられます。

兵庫県下41市町の状況についても調査したところ、兼任園長の配置があるかどうかや、ある場合の月額などの質問に回答があったのは33市町で、そのうち小学校長が幼稚園長を兼任しているのは6市町でした。その他の市町については、公立幼稚園が設置されていない、または認定こども園化、専任園長が配置されている等の回答がありました。

幼稚園長を兼任されている6市町の園長手当の金額は、年額40,000円(月額3,333円)から月額10,000円までとなっています。丹波篠山市で定める金額と大きな差は見られず、また、今後金額を改正する予定もないとの回答でした。

しかしながら、兼任園長が配置されている市町の教育委員会に聞き取りをしたところ、6市町のうち5市町については、兼任の幼稚園教頭は配置されてはいないものの、幼稚園職員の中に専任の教頭、フリーで動ける担任をもたない主任教諭等が配置されており、その職員が中心となって園の運営をしているとのことでした。比較すると担任をもたない主任教諭の配置がない丹波篠山市の兼任園長の場合、業務量が多く負担も大きいことが考えられます。

園長手当増額につきましては、県下市町の状況を参考にしつつ、検討を進めたいと考えます。

 

最後に、「フリースクールを中学校校舎内に」について、お答えします。

議員のご指摘の通り、不登校児童生徒は全国的に急増しており、令和4年度は小中学生で30万人に迫る人数となっています。丹波篠山市においても、令和4年度の不登校の児童生徒は、小学校で26人、中学校で75人となっており、過去最高となっています。

丹波篠山市では、不登校児童生徒支援の一つとして適応指導教室「ゆめハウス」に加えて、篠山中学校内にも適応指導教室を設置しています。

まず、篠山中学校の適応指導教室の現状と課題について説明します。篠山中学校の適応指導教室は、2階の空き教室を利用しており、普通教室の半分程度のスペースを設けています。主に学校運営フォローアップ講師が支援にあたっており、生徒の人数に応じて1~2名が対応しています。適応指導教室のみを利用している生徒や必要な時に居場所として利用している生徒もいます。

学習内容は、生徒本人の意思を尊重して決めており、具体的にはプリントによる基礎基本の学習、授業の補填、教室の授業をオンラインで受ける、タブレットを利用して自分のペースで学習する、学校行事の準備などを行っています。

課題としては、適応指導教室が校内にあるため学校の敷地に入ること自体が難しい生徒にとっては、利用しづらい環境にあるということがあげられます。一方で、教室以外の選択肢があることで登校しやすくなること、個別のニーズに合わせた学習ができること、現在は登校している生徒も利用できるので、不登校の未然防止にもなっていること、空き時間に担任等が当該生徒と関係を築くことができることなど、校内にあるメリットもたくさんあります。

川西市が設置している校内フリースクールは、丹波篠山市の篠山中学校内適応指導教室と同じような取り組みであると認識しております。その意味では、篠山中学校適応指導教室は丹波篠山市におけるモデルと考えることができます。

校内適応指導教室の設置については、空き教室の確保やスタッフの配置など、いくつかの課題がありますが、国・県の動向を踏まえながら、篠山中学校以外でも適応指導教室のような教室以外の居場所を設置することができないかを検討していきます。

 

【質問事項2】SDGsの着実な推進を

【質問主旨】

・環境学習をSDGsとの関連を踏まえて学校ではどのように取り組んでいるのか。

 

【教育長答弁】

それでは、質問事項2「SDGsの着実な推進を」のうち「各学校におけるSDGsを踏まえた取り組み」について、お答えします。

小学5年の社会科では大気汚染による公害や河川の水質改善の取り組みなどの環境問題について学習しています。小学6年理科でも地球規模での自然環境を踏まえた持続可能な社会について学習します。中学校の公民、地理でも国際社会共通の目標としてSDGsが取り上げられています。

また、総合的な学習や特別活動などでは、地域に根差した子どもたちの主体的な活動が行われています。小学校では、川の生き物調査を通じて、川の水質や絶滅危惧種、外来生物に関心を持ったり、間伐材の伐採や植樹活動を通じて森林資源への学びを深めたりしています。

篠山小学校のお城ガイドの取組は「ひょうごSDGsスクールアワード2023」で最優秀賞を受賞するなど、内外から高い評価を受けております。多紀小学校児童会とPTAは、令和4年度にネッツトヨタ神戸とパートナーシップ協定を結んでおり、福祉自動車や電動車いすカ―の見学体験を通じて、福祉や環境について学ぶ機会を得ています。中学校では、生徒会がリサイクル活動を実施したり、SDGsフェアと銘打って、3年間習った英語を駆使して、SDGsの課題について発表する取り組みなどが行われています。篠山養護学校でも、エコレンジャーと名付けて、地域のごみを拾う活動を以前から実施しています。

これらの活動を通して、自分の考えを積極的に伝えたり、ふるさとの良さを実感している児童生徒が増えてきています。また、間伐材のマークの付いた商品を選んだり、エアコンの設定温度を気にしたりするなど、具体的な行動にも表れています。SDGsは、すべての人々にとってよりよい持続可能な社会を築くための青写真です。貧困や不平等、気候変動、平和と公正など、私たちが直面するグローバルな課題の解決を目指すものです。誰一人置き去りにしない社会を作っていくためにも、義務教育の段階からSDGsに関連した学びに接し、深めていくことを進めていきたいと考えています。

【通告番号】個-3 園田 依子 議員

【質問事項2】自転車用ヘルメットの着用促進について

【質問主旨】

・児童生徒に通学時以外にもヘルメットを着用してもらうための工夫は考えているのか。

・一律のヘルメットではなく、機能性の条件を付けてヘルメットを本人の選択にまかせることでヘルメット着用率の向上にもつながるのではないか。

 

【教育長答弁】

質問事項2「自転車用ヘルメットの着用促進について」のうち「学校での取り組み」について、お答えします。

自転車の事故を防止するために、小・中学校において交通安全教室や自転車訓練を実施しています。DVDなどで交通事故防止の動画の視聴や、実際に自転車に乗っての交通マナーの確認、自転車の安全点検を自らが行う等の取り組みを実施しています。また、令和5年4月の道路交通法の一部改正により自転車のヘルメット努力義務化されることを受け、令和4年度の段階から各学校には努力義務化の周知に加え、自転車のヘルメット着用の必要性を指導するように伝えております。

自転車のヘルメットについては、指定のヘルメットがある学校や、学校でまとめて注文をとっているが、購入は本人の自由としている学校、家庭での購入を基本としている学校など、さまざまです。ヘルメットの共同購入は、ヘルメットの価格を抑えることができるメリットがある反面、デザインが自分の好みではないと感じる児童生徒がいることも事実です。今では、登下校においても、ヘルメットの安全性が確保されていればデザインは自由としている学校や、令和6年度よりヘルメットの自由化を検討している学校もあります。ヘルメットを着用する目的は、児童生徒の命を守ることにあります。どのようなルールや指導を行うことで児童生徒がヘルメットを着ける意味を理解し、自分の意志で着用することにつながるのかという視点を大切にしながら、児童生徒の安全を守る取り組みを進めていきたいと考えています。

 

 

【通告番号】個-5 原田 豊彦 議員

【質問事項1】各種イベント等で得られた賑わいを全市に波及するには

【質問主旨】

1伝建協全国大会を本市で開催するに至った狙い、開催目標の達成度は

2大会の舞台となった各地域へのアフターフォロー体制をお聞かせください。

 

【教育長答弁】

質問事項1「各種イベント等で得られた賑わいを全市に波及するには」について、お答えします。

まずは、「1全国伝統的建造物群保存地区協議会の大会開催の狙い、開催目標の達成度は」について、お答えします。

この度の全国伝統的建造物群保存地区協議会の大会は、45回目を迎える大会で、これまで全国各地の重伝建地区において行政・住民・専門家が参加し、お互いの情報を交換しながら研修する機会として開催されてきました。

丹波篠山市大会は、そうした本来の大会の目的に加え、篠山・福住両地区において、保存会、ヘリテージマネージャー、ボランティアガイド、子どもたち、そして多くの住民が力を一つにして、町並だけではなく、丹波篠山市の歴史文化、特産品、自然そしてあたたかい心のこもったおもてなしを通して丹波篠山市の魅力を内外に発信するとともに共有することが狙いでした。今後も、住民と共に考え、側面支援するという視点で取り組んでいきたいと考えています。

また、大会の達成度については、秋田県仙北市視察で原田議員がお聞きになられたように、他の多くの参加者からも同様のご意見を頂戴しており、住民主体の取り組みを全国に発信するという目的はほぼ達成できたのではないかと考えています。

 

続きまして、「2大会の舞台となった各地域へのアフターフォロー体制」について、お答えします。

これまで、両地区の修理・修景を着実に推し進めながら、まちなみ保存会の運営や防災対策業務、まちなみ案内、そして児童・生徒のガイド活動や研修の支援などを行ってきました。引き続き地域と連携しながらフォローアップしたいと考えています.

師走会議
師走会議2

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