教515 世界平和を 世界平和アピール七人委員会講演会(教育長ブログR5.9.12)

更新日:2023年09月12日

世界平和アピール七人委員会は、丹波篠山市出身で平凡社を創設した下中弥三郎の呼び掛けで集まった7人の不偏不党の知識人・文化人の有志の会で、国際間の紛争は武力によらず平和的な話し合いで解決すべきだとの考えに立って、多くの平和アピールを国の内外に表明し続けている。初期のメンバーには、平塚らいてうや湯川秀樹らがいるが、現在は小沼通二(物理学者)や高村薫(作家)ら新たな七人で活動を行っている。このほど現在のメンバーの一人酒井啓子(国際政治学者)さんの講演会が丹波篠山市民センターで行われ、出席したじょう(~「じょう」は丹波篠山の方言を使っています)。

 

世界平和アピール七人委員会は1955年に発足し、下中弥三郎氏の没後50年の節目となる平成23年度から、下中氏の故郷である丹波篠山市で毎年平和講演会を開催しており、今回で11回目となる。

 

今回の酒井さんの講演は「イラク戦争から20年 日本と国際情勢はどう変わったか」というテーマで、イラク戦争は国際的にどのような影響を残したかや日本と中東の関係、ロシアのウクライナ侵攻等について話された。

 

豊富な知識と体験に基づいた分かりやすい講演で、これまで断片的に知っていた国際的事件(事案)が繋がって、「だから、今の国際情勢はこうなっているのか」ということが分かった。

 

例えば、イラク戦争時のイラクが大量破壊兵器を持っているのではないかという思い込みによるアメリカのイラク攻撃が、「勝手に戦争をしても良い」という今回のロシアのウクライナ侵攻へ影響を与えたのではないかという意見やイラク戦争後のアメリカの退潮(「アメリカは世界の警察官を辞める」等)が中東(イラン・サウジ等)の「アメリカに頼らない姿勢」につながり、原油増産の要求拒否から現在の石油価格高騰を招いているという知見(この気づきの中には教育長の勝手な理解が入っているかもしれません)など。

 

講演の後には、小沼さんの司会で、大石芳野(七人委員会 写真家)さん、下中弘さん(下中記念財団専務理事)、下中美都さん(下中記念財団常務理事)らで「酒井啓子さんを囲んで」というパネルディスカッションが行われ、何とその中に教育長も参加した。

 

パネラーの皆さんが、講演の感想や中東への思いを語られるが、教育長は中東へ行ったこともなく人に語れる知識もないので、ちょっと強引に「丹波篠山の教育と国際平和」への思いを話させてもらった。

 

丹波篠山では小規模・少人数な学校が多いが、これは一人一人を丁寧に見ることに有利であり、また本市では自然体験や地域活動体験も盛んで、これは子どもたちの自尊感情や意欲・関心・社会性等を高めている。このように子どもたちの可能性を伸ばす教育を進めているが、根本的に大事なのは子どもたちの命を守ることだと考えている。そのため事故防止や安全教育に力を入れているが、紛争や戦争になれば、子どもたちの命や学びに甚大な被害が生じる。国際平和に関心を持ち、自分たちにできることをやっていき、何としても国際平和を維持し守っていかなければならない。


 

実際のやりとりは、そうそうたるメンバーの中で緊張し、しどろもどろのところもあったと思うが、「中東でも教育に力を入れており、日本のモラルや協調性を大事にする教育を学びたいという声もある」というコメントに力をもらった。

パネルディスカッション1
パネルディスカッション2
パネルディスカッション3