教521 より良い市政に向かって その2 市議会長月会議(教育長ブログR5.9.25)

更新日:2023年09月25日

第124回丹波篠山市議会長月会議の一般質問が、令和5年9月20日・21日の二日間にわたって行われた。今回質問に立たれた12名の市議会議員の方と、市長や教育長、市役所各部長らがより良い市政に向かって熱い議論を交わした。そのうち、教育委員会に関する質問と一回目の答弁をお伝えします。実際には一回目の答弁の後も数回やりとりがあり、議論が深まっていった。

大事なのは、ここでのやりとりを今後の行政(教育)に活かして行くことだと考えるじょう(~「じょう」は丹波篠山の方言を使っています)。

【通告番号】個-2 隅田 雅春 議員

【質問事項1】クリンソウをまもるために

【質問主旨】

・クリンソウ群生地の保全活動をしている「多紀連山のクリンソウを守る会」との連携について。

・大岳寺付近は修験道の行場として歴史があり、クリンソウは500~600年前に薬草として栽培されていたのではないかともいわれている。貴重な歴史の一つとして市史に盛り込んではどうか。

 

【教育長答弁】

質問事項1「クリンソウをまもるために」について、お答えします。

まず、「多紀連山のクリンソウを守る会」との連携について、お答えします。

多紀連山のクリンソウを守る会には、希少種であるクリンソウの保護と公開にご尽力いただいており、教育委員会では、クリンソウのパンフレット印刷や新聞発行などの活動に、平成29年度からこれまで7回にわたり「地域の歴史文化を活かしたまちづくり支援金」による助成を行っています。

この支援金は、平成23年度から始まり、令和4年までに延べ112の歴史文化を活かした活動を行っている地域団体に活用いただいている補助メニューであり、多紀連山のクリンソウを守る会においても今後も連携し支援を継続していきたいと考えています。

 

続きまして、市史への盛り込みついて、お答えします。

丹波の修験の拠点であったといわれる大岳寺(みたけじ)をはじめとする修験道は、丹波篠山市の歴史を紐解く重要なトピックスであると認識しています。市史編さん中世編専門部会や考古編専門部会、通史編専門委員会においても、市史に反映させるためにどのように調査すべきかなどの議論が交わされ、市史でどのようにまとめていくべきかを調整いただいています。

三岳修験とクリンソウに関する当時の史料は把握できていない状況ですので、今後、史料が見つかれば、三岳修験とクリンソウの関連についても市史編さんの各部会で市史の掲載を検討したいと考えています。

 

【質問事項2】豊岡市と連携して丹波篠山市でも演劇祭を

【質問主旨】

・豊岡市と連携して演劇祭を共催し、世界にアピールできないか。

 

【教育長答弁】

それでは、質問事項2「豊岡市と連携して丹波篠山市でも演劇祭を」について、お答えします。

豊岡国際演劇祭は、2020年に第1回目として開催され、この年は新型コロナの影響を受け、約6,500人の来場者となりましたが、2022年には18,000人を超える来場者を迎えるまでの大きなイベントに育っています。2023年度は、但馬3市2町のうち、豊岡市、養父市、香美町で開催されており、演劇のほかにも、ダンス、大道芸、音楽、特産物展示販売など、芸術、工芸、食などの多様な文化の交流なども行われています。

丹波篠山市においては、豊岡演劇祭のように一定期間に集中して行っているものではありませんが、年間を通じて芸術、工芸、食文化などさまざまな分野に関するイベントが数多く行われています。例えば、「とっておきの音楽祭」、「丹波篠山ヴィオラマスタクラス」、「映像大賞」、「市展」、「市民ミュージカル」、「シューベルティアーデ丹波」、「こども狂言」など、工芸陶芸の分野でも、「まちなみアートフェスティバル」、「陶器まつり」や「丹波篠山クラフトヴィレッジ」など、食文化の分野では、「丹波篠山味まつり月間」や各所で開催されている食のまつりやマルシェなどが行われています。

隔年で開催している第11回目となる市民ミュージカルでは、今年度の出演者募集において、過去2番目に多い78名もの方の応募がありました。出演者だけでなく、舞台の裏方のスタッフや美術、衣装などの技術スタッフも市民に関わってもらっており、まさに市民が作り上げる市民ミュージカルとなっています。

豊岡演劇祭は、まだ始まったばかりで、まずは2市1町での取り組みを但馬全域に広げて行きたいとの思いがあるようですので、その先に連携等の取り組みも見えてくるのではないかと考えます。現時点では、丹波篠山市としては、芸術文化の振興のためこれまでの取組を進化させるとともに、豊岡演劇祭で取り組まれている内容について、参考にできるものは取り入れ本市の芸術文化を盛り上げていきたいと考えています。

 

【質問事項3】女性が活躍するまちづくりを

【質問主旨】

・女性が校長となっている学校では、どのような変化が起こっているか。

・教育委員会における女性管理職の活躍について。

 

【教育長答弁】

それでは、質問事項3「女性が活躍するまちづくりを」のうち、「女性がリーダーとなって活躍している学校では、どのような変化が起きているか」について、お答えします。

現在、丹波篠山市内には4名の女性校長がおります。それぞれが自身の長所を生かして学校経営をしています。具体的にいくつか紹介いたしますと、城北畑小学校では、校長室に絵本やパペット、地球儀などを置いて、子どもたちが気軽に校長室に入ることができる環境を作っています。篠山小学校では、校長が率先して地域に足を運び、地域との結びつきを深め、花壇の花植えやお苗菊の栽培などを地域の方と子どもが一緒にすることで自然な交流が生まれています。西紀北小学校では、校長が全国へき地教育研究大会の実行委員長をつとめ、10月に実施される全国大会の成功に向けて尽力しています。大会当日は、西紀北小学校の全校生がアトラクションとしてデカンショ踊りを披露し、丹波篠山を全国に発信する予定です。八上小学校では、校長のリーダーシップのもと、ICTを積極的に取り入れ、子どもたちがタブレットを使いこなしながら、主体的に学習に取り組む先進的な授業が行われています。また、丹波篠山市小学校長会の会長も務めています。

なお、これらの取り組みについては、女性校長であるからできると言うことではなく、それぞれの校長が個性を発揮して生き生きと活躍していると理解いただければと思います。

 

続きまして、教育委員会における女性管理職の活躍について、お答えします。

第3次丹波篠山市男女共同参画プランでは、丹波篠山市の管理職における女性の割合は令和3年度時点で20%トル、令和8年度の目標値は30%となっている中、本年度の教育委員会事務局、及び教育委員会が管轄している施設の市職員管理職における女性の割合は38.4%となっています。

女性職員が管理職になり、リーダーシップを発揮できる機会を得て、持てる能力を存分に発揮することは、職場全体に多様な価値観をもたらすとともに、職場全体の意識改革にもつながります。教育委員会では、今後も女性管理職の登用を推進していくとともに、全ての人が働きやすい環境整備に努め、男女が共に生き生きと活躍できような職場環境にしていきたいと考えています。

 

 

【通告番号】個-3 園田 依子 議員

【質問事項1】こども未来戦略方針の推進について

1意識改革

2経済的支援の平等性の確保について

3「こども誰でも通園制度(仮称)」の導入について

【質問主旨】

1.夫婦が相互に協力しながら子育てする。また、その取り組みを職場が応援し、地域社会全体で支援する社会を目指すためにも社会全体の構造・意識を変える取り組みが必要と考える。また、こども・子育てをしっかりと取り組む自治体として「こどもまんなか応援サポーター」となりPRすることも社会の意識改革の一助になるのではないか。

2.幼児保育無償化により、保育園等を利用する親に対する経済的支援の拡充が図られた一方、保育園を利用せず家庭保育を行っている親に対する支援が乏しい。家庭保育を行っている保護者に対してインセンティブを付加し、経済的な支援を行う事で平等性が確保されるものと考える。

3.0~2歳児を定期的に預ける制度のない専業主婦家庭の負担を軽減し、育児の孤立化を防ぐことを目的に創設された「こども誰でも通園制度」(仮称)を早期に導入し、家庭保育保護者の負担を軽減すべき。

 

【教育長答弁】

質問事項1「こども未来戦略方針の推進について」、お答えします。

まずは1意識改革について、お答えします。

全ての世代の国民一人ひとりの理解と協力を得ながら、次元の異なる少子化対策を推進する。これにより、若い世代が希望どおり結婚し、希望する誰もがこどもを持ち、安心して子育てができる社会、こどもたちがいかなる環境、家庭状況にあっても、分け隔てなく大切にされ、育まれ、笑顔で暮らせる社会の実現を図るため、令和5年6月13日に「こども未来戦略方針」が閣議決定されました。この方針では、こども・子育て施策として3つの基本理念が掲げられており、その中で、これまで子育てへの関与が薄いとされてきた企業や男性、さらには地域社会、高齢者や独身者を含めて、皆が参加して、社会全体の構造や意識を変えていく必要があるとあります。

丹波篠山市では、平成18年度に制定しました「丹波篠山市自治基本条例」、また平成23年度に制定しました「丹波篠山市子育ていちばん条例」において、社会全体でこどもたちの育ちを支えあうことについて既に規定をしているところです。

 

次に、2.経済的支援の平等性の確保について、お答えします。

丹波篠山市では、丹波篠山市に育つ子どもが健やかに育まれ、将来に夢や希望を持って力強く生きることを目指して、妊娠から出産、子育てまで、切れ目のない施策に取り組んでいます。在宅での子育てについては、「子育ての悩みや不安を聞いて欲しい」、「子どもが小さくて外出する機会が少なく、家にこもりがち」、「子育てをしている親と知り合いたかった」など、様々な悩みや負担感を抱える方も多く、その解消が不可欠となります。

丹波篠山市教育委員会としても、在宅での育児の悩みや不安を抱え込むことなく子育てできるよう、支援施策に取り組んできました。地域において子育て親子の交流等を促進する子育て支援拠点を市内4か所に設置し、子育てについての相談、情報の提供、学習会、交流の場づくりを実施。子育て仲間との出会い、子どもとのかかわり方を学ぶことで、親子の絆を深める「親子の絆づくりプログラム」の実施、3歳以上の未就園児を対象とし、子どもが同年齢の子ども達と触れ合いながら社会性を育むことができるプログラム「森のようちえん」を、令和5年度より対象者を2歳6か月に拡大して実施、在宅育児の疲れをリフレッシュしたいときに利用できる、ファミリーサポートセンターが実施している「子ども一時預かり」について、令和5年度より回数を倍増し、その経費を市として補助するなど、在宅での育児支援の充実を図っています。

丹波篠山市教育委員会としましては、これからも家庭で保育を行っている方を含め、全ての子育て家庭が安心して子育てできるよう、一人ひとりに寄り添い、必要な支援を切れ目なく提供できるよう、取り組みを進めていきます。

 

最後に、3.「こども誰でも通園制度」(仮称)の導入について、お答えします。

「こども誰でも通園制度」(仮称)は、保護者の就労などの従来の条件はなく、通常保育園等に通わせていない家庭でも、定期的に時間単位で保育所等を利用できる仕組みを構築するもので、未就園児の保護者の育児負担の軽減や孤立化を防ぐことが目的とされています。こども家庭庁では今年度中に検討会の立ち上げ、中間とりまとめ、最終のとりまとめといったスケジュールをたてており、2,024年度からは制度の本格実施を見据えた形で実施することとしています。対象施設は、定員に空きのある保育所等であり、幼稚園は対象外となります。

丹波篠山市においては、令和5年4月時点での0歳児の就園率は14.4%、1歳児は54.2%、2歳児は59.8%、3歳児は84.9%となっており、この数字に当てはまらない児童については主に家庭での保育を受けているということになります。4・5歳児についてはほぼ全児童が、幼稚園またはこども園において幼児教育を受けていますが、3歳児以下の年齢では、保育園・認定こども園への入所希望者が多く、就労家庭にあっても入所が難しく、特に低年齢児においてその傾向が顕著となっています。本年度は7名の待機児童が発生している状況の中、優先しなければならない課題は待機児童解消と保育士の確保であると考えます。

そうした中、令和5年度は低年齢児で発生している待機児童対策として、にしき保育園での保育室増築をはじめ、遠距離通園者を対象にした補助金制度の創設、新たな保育士確保のための「園見学バスツアー」や「保育・教育就職フェア」などを開催し、待機児童解消や保育士の確保に努めているところです。また、未就園児童や家庭で保育を行っている保護者への支援として、先ほど申し上げたような様々な事業に取り組んでいます。

保育の受け皿及び保育士の確保、またソフト面での対応など、待機児童解消に向けた取り組みを引き続き検討していくとともに、「こども誰でも通園制度」(仮称)の導入については、国の動向を注視しつつ、丹波篠山市の状況を踏まえながら研究したいと考えます。

 

 

 

【質問事項2】献血推進について

【質問主旨】

・学校義務教育への働きかけの取り組みとして、パンフレットを小学校4年生に配布予定であると聞いているが、どのように活用し、啓発していくのか。

 

【教育長答弁】

それでは、質問事項2「献血推進について」、お答えします。

学校でのパンフレットの活用、啓発について、お答えします。

血液は、人工的に作ることができず、長期の保存もできないことから、献血等によって常時確保する必要があります。その中で、献血可能な人口が減少しており、今後必要な血液量を確保できないことが危惧されています。

学校教育における献血の位置づけとしては、小・中学校の学習指導要領に献血の記載はありませんが、中学校保健体育の「健康な生活と疾病の予防」の中に「健康の保持増進や疾病の予防のためには、個人や社会の取組が重要であり」との記述があり、社会の取り組みの一つとして献血を取り上げることができます。また、中学校保健体育の教科書に公衆衛生活動の一例として献血の写真が掲載されており、授業で取り扱うことが可能です。

教育委員会としては、例えば、日本赤十字社などから献血に関するパンフレットやハンドブックが届いたときには、学校に配付を依頼するだけでなく、中身を紹介しながら献血について児童生徒に詳しく説明することを依頼したり、授業においても保健体育などで献血に触れたりすることを学校に働きかけていきます。今後も関係団体とも協力していきながら、小中学生に献血の必要性等について周知していきたいと考えています。

 

長月会議2-1
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