教664 新しい取組 小学校教科担任制 (教育長ブログR6.5.17)
これまで小学校では、ほぼ全ての教科をクラス担任が教える「学級担任制」、中学校では教科ごとに教える先生が変わる「教科担任制」であった。国は、小学校高学年の一部の教科で実施している教科担任制を、小学校中学年まで拡大する方向で検討されていて、丹波篠山市では本年度から小学校3年生以上で教科担任制を実施している小学校がある。国に先駆けて新たな取り組みを始めた市立八上小学校を訪問し、その状況を自分の目で確かめてきたじょう(~「じょう」は丹波篠山の方言を使っています)。
一般的に小学校に教科担任制を導入する理由は、以下のように言われている(教科担任制のメリット)。
1 教員が特定の教科の教材研究に専念でき、一人の教員が複数学年で教えることによる「系統性」「連続性」が高まるので指導力が向上し、児童の学力向上につながる
2 授業準備・教材研究の効率化や、不慣れな教科を教えなくてよいストレス軽減等による教員の働き方改革
3 複数の教員が関わることで、多面的な児童理解に基づく、組織的・協力的な指導の充実(同僚性、人材育成、学級経営力の高まり)
4 児童が教科担任を経験することによる、中一ギャップの減少
一方、小学校に教科担任制を導入するデメリットとしては、以下のようなものが考えられる。
1 時間割の編成、調整が複雑化
2 担任が担当学級の児童と過ごす時間が減り、児童の状況把握が難しくなる
3 教科横断した学習が進めにくい
1学年1クラスの八上小学校では、一つの教材研究で複数回授業ができるというメリットは少ないと思ったが、何人かの先生に話を聞いてみると、
1 教科の系統が分かるので、児童のつまずきがどこにあるかが分かる
2 授業準備に余裕ができた
3 授業準備がしやすく、計画が立てやすい
4 手をかけなければならないクラス(児童)が見えやすく、みんなで全員(全児童) を見ていこうという意識が高まっている等
肯定的な声が多かった。
更には、
1 初任者や転任者には自分のクラスを知る時間が足りない
2 先生によってやり方や指導の仕方が違うので、子どもたちにはとまどいがあるのかもしれない
3 もう少ししたら教師や児童にアンケートを取りたい
という話も聞かせてもらった。
教育長が見た、6年担任による5年生の国語授業(6年担任は3年生~6年生の国語担当)、3年担任による6年生の算数授業(3年担任は3年生~6年生の算数担当)、5年担任による3・4年生合同体育授業(5年担任は3~6年生の体育、3~6年生の外国語、3年生の理科担当)は、どれも順調だった。
どの学年にも教育長に気さくに声をかけてくる児童がいたが、これは教科担任制の影響というよりも、八上小学校児童の素直な持ち味等によるものだろう。これからも、現状を改善しようという新たな取り組み(挑戦)を、応援の気持ちを持って注視していきたい。




更新日:2024年05月17日