38.玉水 (19)

更新日:2020年06月23日

城北口バス停から徒歩約10分

法昌寺の北西約300メートルほどの田に囲まれたところに、清水が湧く小池があり「玉水」と呼ばれ、町指定の史跡となっている。かつて、数本の老松がそびえていたが、全て枯れさびれていた。しかし最近、小公園として整備された。
古書や伝承によると、この小池はもと西黒岡川の川筋にあたるという。その川は、篠山築城のころには二の丸北西部の山裾に激しく流れ込んでいて、それを利用したのが「積み上げの井戸」であり、埋めるとき川床に竹の束を並べたので、両方とも今も涸れることがないといい、城中の水量の観測池との説もある。
城主が復元の際、金気を嫌って金具を使わず、鮑貝で掘らせ、形もそれに似せ、貝の五つの穴にあたる所に、松を植えたと伝えられている。
傍らに、元禄5年(1692)城主松平信庸が建てた「日置玉水の碑」がある。碑文には、村人たちはこの清水を飲料水や酒の醸造に使い、余った水は田畑に注いで喜んでいるので、その様子を刻んでおくとし、玉のような水しぶきは永遠に尽きることはないであろうと、漢詩で締めくくっている。

「丹波篠山五十三次ガイド(改定版)」(平成7年8月発行)より
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