61.薬王山西光寺(曹洞宗)と仏像 (30)

更新日:2020年06月23日

井ノ上バス停から徒歩約12分

バス停を200メートルばかり東へ行って、標示に従って右折し、のしかかるように迫る弥十郎ヶ岳に向って畑市の集落を進むと、山麓に「西光寺」がある。もとは小野奥谷村の茶屋峠にあったのを移したとも言われる。
『篠山領地志』によると、天平3年(731)、行基が開創して、自ら刻んだ薬師如来像を本尊とし、ほかに五仏を置いた。中世の動乱期に建物はすべて焼失したが、本尊は難を逃れた。そこで、僧坊を一宇建て奉安したとされる。
その後、元禄年間(1688~1704)洞光寺二十一世万国春輝和尚が復興したという。
もとの市場跡に、立派な西光寺仏像収蔵庫が建っている。当時の仏像は、廃四十九院か廃石高山高窟寺にあったものともいう。
ご本尊の木造薬師如来坐像は、頭と胴は桂の一木作りで、膝と両腕は寄木となっており、円満な重厚さがある。脇侍の四天王もあり、五体とも平安期の貴重な作である。「木造薬師如来坐像」、「木造持国天立像」、「木造増長天立像」、「木造多聞天立像」はそれぞれ国の重要文化財に指定され、木造広目天立像は町指定文化財である。

「丹波篠山五十三次ガイド(改定版)」(平成7年8月発行)より
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