69.籠坊温泉 (35)

更新日:2020年06月23日

後川下バス停から徒歩約35分

バス停付近から羽束川(武庫川の上流の一つ)を源流に向って約3キロメートルほど行くと、閑静な山峡に「篭坊温泉」がある。北には弥十郎ヶ岳の山塊が迫り、南には大野山連山がそびえ、このあたりは標高約400メートルで、県立猪名川渓谷自然公園に属している。
泉質は、アルカリ性の炭酸塩類・鉄分を含み、冷泉である。
寿永3年(1184)2月の一ノ谷の合戦で敗れた平家の落武者が隠れ里にして、この冷泉で傷の手当をし、薬師寺堂を建てたという。今も、五輪谷・籠谷に平家一族の五輪塔が残っている。
昔、付近にあった大徳寺・福泉寺という二つの寺の、「籠坊(こもりぼう)」を入浴療養者に宿坊として利用させたところから、温泉の名になったと伝えられている。
春は新緑につつまれて山菜料理、夏にはホタルが飛び、カジカが鳴き、アユやアマゴが釣れ、秋には栗にマツタケ狩り、鮮やかな紅葉が過ぎると冬のぼたん鍋と、四季折々に情緒のある山間の温泉郷として、古くから親しまれている。
渓谷沿いに5軒の料理旅館があり、年間を通じて訪れる人が多い。

「丹波篠山五十三次ガイド(改定版)」(平成7年8月発行)より
※地名・交通経路等は書籍発行時のもので、現在の状況とは異なる場合がありますのでご注意ください。