81.亀井山蔵六寺(曹洞宗) (45)

更新日:2020年06月23日

貝田橋バス停から徒歩約5分

貝田の北の山麓に「蔵六寺」がある。山間の地に貝田とは珍しいが、もとは垣田で、野獣の害を防ぐために、周囲に垣をめぐらした田を言ったのが転じたものか、開田の意味であろう。
付近にトロ神田がある。トロとは占神と灯籠神の二説があって、この田から祭や油などの経費をまかなったのだと思う。
寺名の蔵六というのは、頭・尾・四足の6つを隠し持つことから亀の異称である。山号にちなんだか「亀井の水」という名水が湧く。
ご本尊は、聖観世音菩薩坐像である。縁起によると、弘治年間(1555~58)、太寧寺六世喜雲柏悦和尚が大破していた堂舎を修築し、中興の祖と言われる。「木像薬師如来坐像」(県・文)がある。像高77センチメートル、目は長目、伏せ目で、はれぼったく、眉は比較的大きな弧を描き、引き締まった口元、下ぶくれの顔など、平安後期の作のようでもあるが、胸が広く肉付き豊かなボリュウム感や、流れるような衣文や膝の部分の形式化、胴部などは光背とともに鎌倉時代の作で、室町期の後補もみられ、金箔は江戸時代末期のものと言われている。

「丹波篠山五十三次ガイド(改定版)」(平成7年8月発行)より
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