丹波篠山市名誉市民 河合雅雄顕彰室 「万兎(マト)の部屋」

更新日:2024年04月15日

丹波篠山市名誉市民 河合雅雄顕彰室 「万兎(マト)の部屋」

世界のサル博士として、また丹波篠山市名誉市民としてご活躍された河合かわいまさ氏。

その多大なる功績を称えて顕彰し、河合氏が残された自然保護や野生動物との共生、歴史文化を生かすまちづくり等の提言を後世に語り継ぐための場として、丹波篠山市民センター 図書コーナー内に、丹波篠山市名誉市民河合雅雄顕彰室「の部屋」を設置しました。

の部屋」では、河合氏が残された数々の著書やご功績、愛用品の展示、また河合氏のお考えや理念が息づいた丹波篠山市の取組みや施策などの紹介をしています。

市民の皆さんや市内の子どもたちが郷土に誇りを持つとともに、丹波篠山が生んだ偉大な河合雅雄氏を知る機会を提供します。

この「の部屋」の名称は、河合雅雄氏が子どものころに兄弟で呼びあっていた愛称が「マト」であり、また児童文学者としてのペンネームが「草山万兎(くさやままと)」であったことが由来となっています。

設置場所

丹波篠山市民センター1F 図書コーナー内(兵庫県丹波篠山市黒岡191)

【開館日】

火曜日~土曜日 午前10時~午後6時

日曜日・祝日・12月28日 午前10時~午後5時

 

【休館日】

月曜日(祝日の場合は開館。翌平日休館)

年末年始、資料特別整理期間、ABCマラソン開催日

※上記以外にも臨時休館する場合があります。

館内案内図

オープン日

令和6年4月13日

 

丹波篠山市が河合雅雄氏から受け継ぐ取り組み

河合氏は世界のサル博士として大きなご功績を挙げられただけでなく、ふるさと丹波篠山をこよなく愛され、未来に向けて様々なご提案をいただきました。

河合氏が大好きだった歌は、「僕らはみんな生きている」で始まる「手のひらを太陽に」でした。この歌のとおり、ふるさとの美しい自然や生きものを慈しみ、自然との共生を説き続けられました。

()(の部屋」では、河合氏の教えが息づく丹波篠山市の取組みをデジタルサイネージで紹介しています。

1.丹波の森構想

1988年(平成10年)丹波地域(丹波篠山市と丹波市)を一つの森と見立て、森の中で人と自然と文化が共生する「丹波の森構想」が宣言され、河合氏はその中心的な役割を担われました。

これは、丹波地域に高速道路が開通し、JR福知山線の複線電化を目の前にして、どのような姿のまちをめざすのか、その岐路にあって、人と人との温かいつながりや自然文化など丹波らしさを大切にしながら、発展をめざすものでした。

開発志向の高かった時代において、画期的と言える発想で、地方創生の先駆けと言われています。

ふるさとの森づくり

 

2.川づくり

河合氏は、2002年(平成14年)に愛知県犬山市からふるさと丹波篠山市に帰って来られました。 少年時代と変わったところはありますか? との問いに、「子どものころ、篠山川に足を入れると魚たちがいっぱい寄ってきてつついてきた。しかし、今は川の姿が無残になった。 コンクリートで固められ実にけしからん。 川は元来、色んな生きものの住むところだという根本を忘れている」と憤られました。

これからの川づくりや農村の水路づくりにおいては、治水、利水だけでなく、自然環境や生きものへの配慮が求められています。 河合氏の教えを生かし、丹波篠山らしい自然豊かな川をめざします。

畑川

 

3.里山

かつて、日本人は山を神聖なところとし、山の幸などの森の恵みを享受していました。 河合氏は、ウィーンの森と丹波篠山の森が相通じることを見出し、ヨーロッパの人々が、小鳥さえずり蝶が舞う自然の森の散歩を好むのと同じように、ご自身も里山の散歩を楽しまれました。

ところが、現在、日本の里山は放置され、森林の自然循環などの大切な役割も忘れがちです。 スギ、ヒノキの植林から、広葉樹に植え替え、四季折々美しく多様な動物や植物を育み、食の宝庫にもなってみんなが楽しめる里山をつくります。

集落丸山

 

彼岸花

4.原風景のまち丹波篠山

日本中、どこへ行っても同じようなまちの姿になってしまいました。

しかし、丹波篠山は城下町としてのたたずまいの美しさ、品位のある風格を持っています。 農村の風景も美しく保たれ、都市近郊で日本の原風景が残されているのは奇跡的とも言われています。

河合氏が提唱されたとおり、丹波篠山のあるべき姿は、日本の原風景としてのまちを維持していくことです。

河原町通り

 

御徒町通り

5.文化

2015年(平成27年)に、「丹波篠山デカンショ節-民謡に乗せて歌い継ぐふるさとの記憶-」のストーリーが日本遺産に認定。

さらに、2017年(平成29年)日本六古窯として丹波焼が日本遺産に認定され、伝統的な春日能、各地域で継承する祭礼や伝統芸能、篠山藩門外不出のお苗菊など、多くの文化が今も引き継がれています。

丹波篠山市は、2015年(平成27年)からユネスコ創造都市ネットワークのクラフト&フォークアートに加盟して世界の創造都市と交流し、新しい工芸家や芸術家が次々と移住して来られ、芸術の新しい風が吹き始めています。

デカンショ祭

 

ユネスコ創造都市ネットワーク

6.農都・農業

6-1 自然を守る農業

丹波篠山は、丹波黒大豆、山の芋、丹波栗、ぼたん鍋、そして、城下町らしい和菓子など食文化が実に豊かです。

農業は本来、自然の中で営まれ、自然環境を守るものです。ところが、農薬や化学肥料の過度な使用は生態系や人の健康にも影響を与えるもので、河合氏は特にネオニコチノイドの危険性について厳しくご指摘されました。

また、「農業構造改善」(圃場整備)によって、日本の自然は滅茶苦茶にされたのではないかと思う」とされ、コンクリート水路ばかりになったことや、四季折々の畦の草花の消失を残念がられました。

丹波篠山黒枝豆

 

6-2 オーガニックビレッジ宣言

令和5年4月、丹波篠山市は、有機農業の生産から消費までを一貫して地域ぐるみで取り組む自治体としてオーガニックビレッジ宣言を行いました。これを機に、丹波篠山ワクワク農都づくり協議会が策定した有機農業実施計画に基づき、有機農業を広げていきます。

丹波篠山の自然の恵みや伝統的な農業を次世代へ引継ぐため、協議会を中心に、有機農業をはじめとした自然環境や生きものに配慮した農業を一層推進していきます。

 

 

6-3 農都のめぐみ米

丹波篠山市では、おいしさに加え、自然環境に配慮した栽培方法で作られた丹波篠山産コシヒカリ「農都のめぐみ米」を推奨し、丹波篠山ブランドのさらなる向上をめざしています。

多くの農家の皆さんが、「農都のめぐみ米」の栽培に取り組まれ、学校給食の米飯全量に「農都のめぐみ米」を提供しています。農家の皆さんと子ども達が生きもの調査をして豊かな自然環境を見守っています。

 

 

6-4 農都のまほろば水路

まほろばとは古事記の中で歌われた言葉で、「素晴らしいところ」「住みやすい場所」という意味です。

自然豊かな田園風景が魅力である丹波篠山では、過去から大切にしてきた水路を環境に配慮した形で未来に引き継いでいきます。

「土水路(素掘り水路)」や「穴あきタイプ」は生きものや植物が育つ環境を守ることができ、自然や生きものとの共生、生物多様性に配慮しています。

農都のまほろば水路

 

7.野生動物との共生

野生動物と共生しながら、獣害対策にも取り組む「ワイルドライフ・マネジメント」を提唱され、兵庫県は2007年(平成19年)、丹波市青垣町に兵庫県立森林動物研究センターを開設しました。

シカ、イノシシ、サル、クマなどの保護と管理に取り組まれています。

サルは、丹波篠山市で5群160匹が生息し、群れと個体数を守りながら、サルメール、サル追い犬、サル柵など先進的な取組みを進めており、農林水産大臣表彰、霊長類学会からの功労賞も受けました。

防護柵の設置

 

8.生物多様性

春になると小川では、メダカ、フナが泳ぎ、カエルが産卵する、夏になると水路では水草が花を咲かせ、ホタルが飛び交う、秋になると赤トンボが乱舞し、冬には渡り鳥が飛来する、このような四季それぞれの美しい自然と生きものの姿が私たちに大きな安らぎと喜びを与えてくれます。

河合氏は、子ども達が自然のなかで生きものにふれあい、命の大切さを学ぶことを何より願っておられました。

今を生きる私たちは、丹波篠山の自然や生きものの姿を保全、再生し、未来につないでいかなければなりません。 私たちの、そして生きとし生けるものの幸せを求めて。

篠山小学校 オオムラサキ放蝶会

 

オオムラサキ

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